圧倒的な参入障壁のつくり方

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「でも、大手が参入してきたらひとたまりもないですよね・・・」

先日ある生産者さんから質問を受けました。ジャムやソースやドレッシングなど、6次産業化に関する質問です。

どれだけ美味しい商品で、こだわったレシピや作り方であったとして、同じことを大手がもっと低価格に、大量生産でやってきたら、対抗できないというのです。小規模な生産者にはお金も人も十分にありません。

あなたはこれは正しいと思いますか?どうやって小さい農家が大手に戦いを挑めばよいのでしょうか?

前職のブドウ農園では、巨峰の干しブドウを作っていました。カラカラの干しブドウではなく、まだ水分の残ったセミドライ、すなわち半生タイプのレーズンです。本格的な販売を開始して4年ほどになります。しかしまだこれといった競合は現れていません。

でも不思議に思いませんか?干しブドウですよ。信州産の巨峰を使っていることは確かに差別化の要因です。しかし資金力のある大手なら原料を買い集めることもできるはずです。

製法は?乾燥機で干しているだけです。独特の食感を残すため、乾燥を途中でとめて、セミドライにします。すなわち乾燥時間を短くするだけです。時間や温度帯にノウハウがありますが、これも大手がリソースをかけて実験したら、ノウハウを蓄積することは難しいことではありません。

この半生干しブドウは、いまや長野県大手スーパーのツルヤさんであったり、伊勢丹新宿店でも販売されています。さらにはシンガポールへの輸出もはじまっています。引っ張りだこです。

それではなぜ大手が参入してこないのでしょうか?
答えを言いましょう。恐らくあなたが望んでいない答えです。

「全ての工程がめんどくさいから」

想像してみてください。青果であるブドウには個体差があります。粒の大きいものや小さいもの。糖度の高い部位と低い部位。酸度もにもバラツキがあります。色合いの個体差、品種による違い・・・・

カラカラに乾かす干しブドウなら、これら個体差を気にせずに長時間乾燥機を動かせばOKでしす。でもセミドライで止める場合はそうはいきません。個体差によって乾燥スピードが異なるのです。

ある一定時間乾燥させたら、乾燥機を開けて確認をする。乾燥の終わったものは取り出し、終わっていないものは場所を入れ替えて、さらに乾燥を続ける。また乾燥機を開けて、確認をして、今度は裏返す・・・。温度や時間を微調整しながら、これをひたすら続けないといけません。

水分計で客観的にも確認しますが、大半は目視です。セミドライ加減のバラツキや、品質に問題がないことを確認するため、何重にも人の目でチェックします。

とにかくめんどくさいのです!そしてこれを他の企業はだれもやりたがりません。人間、めんどくさいことは大嫌いですから。僕は、とにかくスタッフにこのようなめんどくさい作業を強要してました。だから嫌がられていたかもしれません(笑)

一つ一つの作業を見てみると、それはシンプルな作業です。誰でもできます。しかしそれを組み合わせると、とても複雑でめんどくさいことになります。これを続けるのは至難の業です。その瞬間に、競合が逃げていきます。

本当の解決策は複雑でめんどくさい

今の世の中の風潮で、「物事はシンプルにしましょう。簡潔に分かりやすくしましょう。」というのが主流です。「解決策はたった一つに絞られる」という人もいます。

しかし僕はそうは思いません。解決策が複数ある場合もあるし、それはシンプルからほど遠い場合もあります。生命の進化を見れば分かります。環境に適合するため、生命はとてもとても複雑な進化をとげています。現代科学をもってしても、それを全て模擬することはできません。

6次産業化も同じです。その工程は、複雑で、めんどくさいのです。ここから逃げてはいけません。お客さんに商品説明するときは、シンプルで分かりやすいほうが良いのですが、営業やマーケティングの施策だって同じで、めんどくさいことをこなさないといけません。それを長期間にわたって淡々とこなさなければなりません。

この話しは、商品製造を外注している場合も同じです。あなたはお客さんの要望を徹底的に聞き、レシピを開発し、外注先に手取り足取りそれを伝え、マーケットからのフィードバックを貰って、この作業を繰り返します。外注先に委託して「ハイおしまい」ではないわけです。

もしあなたが大手や競合の参入をおびえているなら、めんどくさいことをやってください。誰もやりたくないことをやってください。参入してきた競合が、めんどくさくなって逃げ出すようなことをやるのです。続けるのです。

それが一番の参入障壁になります。

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年には新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞。
2016年より中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナーとしても活動中。

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