こんな高値でどうやって売るの?(農業者の価格設定講座)

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値段の設定方法をご紹介します。
農業者、6次産業化事業者のための、価格設定講座のはじまり始まりー。

まずは僕の経験をお話ししましょう。ブドウ農園時代に売っていた商品の一つに、巨峰ジュースがありました。

こんなに高い巨峰ジュースをどうやって売る?

数年前に僕が入社したときは、まだあまり売れておらず、在庫が積みあがっていました。もちろんお客さんで、このジュースのことを知っている人も殆どいませんでした。

しかし当時社長は、な、な、なんと、一般的な巨峰ジュースの倍の値段を設定していたのです。原価がどうこうも関係なしです。

おいおい!って感じですが、そこがこの社長の凄いところでもあります。この価格で絶対に売るという意気込みがありました。直観的に、農家も高価格帯での取引が必要なことを分かっていたのだと思います。

営業を一手に引き受けることになった僕は、その高価格の巨峰ジュースを売り歩くことになりました。

巨峰の無添加ストレートジュースです。長野県内の多くのブドウ農家さんが、同じようなジュースを作っています。もちろん、他の産地でも、直売所などで見かけます。

しかし、うちの巨峰ジュースは値段が2倍。どれだけスーパーや百貨店に営業をかけても、お客さんからは「高い」の一言で、ほとんど門前払い。マルシェでも、やはりお客さんの反応は「高い」でした。

そりゃそうですよね。となりの店舗では、半分の値段で売っているのです。うちのところでわざわざ買わないですよね。味はもちろん良いと思うのですが、瓶の形も、ラベルデザインも、特別に目立っているわけでもないし・・・

しかし、会社(ブドウ農園)からは値段下げせずに売れという指示。僕はひたすら売り込みを続けました。

高い理由を伝える

売り込みを続けていくうちに、あることに気がつきました。

一部のお客さんが、通常ジュースの2倍の値段がついている巨峰ジュースに関心を持ってくれるのです。買う目的ではなく、その値段設定に驚いて、興味があると言った感じです。

そして「なぜそんなに高いのか?」と聞いてくるです。みなさん、高い理由を知りたがるのです。何かが違うのだと思うからでしょう。

・選び抜かれた良質な原料を使っているから
・信州産だから
・無添加だから
・こだわっているから
・本数限定だから

いろいろ答えを考えました。どれも売り込む決め手にはならなかったのですが、徐々に買ってくれる人がでてきました。さらに今度は、高い理由を自信満々にお客さんに説明してみました。そうすると、もっと買ってくれる人が増えました。

本当にそれだけの価値があるのか?

自信満々に高値の理由を答えながら、ふと自分で思いました。この商品は、本当に高価格帯で販売するのが妥当な商品なのだろうか?もしかしたら、この値段に見合った「価値」はないのではないか・・・

そこで、原料の選別や、製造プロセスに見直しをかけることにしました。傷みかけの巨峰が原料に紛れ込まないように、スタッフにしっかり指示をして、自分でもチェックをかけました。

製造委託先にも、フィルターの指示や、原料の保存方法などを、あれこれと要求を出しました。また出来がってきた商品の品質に納得がいかないものがあった場合は、委託先にすべて突っ返して、やり直しを依頼しました。瓶に傷が入っていたときも同様の対応をしました。

サービスレベルの見直しもかけました。某百貨店さんの要望をうけて、ラベルを新しくしました。表ラベルを自社で貼っていたので、それが斜めにならないように、作業員の貼るプロセスを標準化しました。また都内の高級果物店からの要望を受けて、商品紹介ビラを作りました。

お客さんの意見も徹底的にヒヤリングしました。どのような飲み方が良いのかなど、シェフの意見も多く聞いて回りました。そこで得た内容を、他のお客さんに飲み方例として、教えてあげるようにしました。

この高価格帯に適した商品になるように、すべてを見直したのです。そして、その事実をお客さんにしっかり伝えるようにしました。

タマゴが先かニワトリが先か?

・商品レベルを徹底的に高めてから、値上げをする。
・値上げをしてから、それに見合った理由を探す。もしくは商品レベルを高める。

どちらがいいのかは正直分かりません。多くの人は、前者を選ぶでしょう。僕の場合は、後者でした。後者のほうが、スピードが速いのが特徴です。

結果として、わずかな期間で、巨峰ジュースの生産量は4倍に膨れ上がりました。秋に製造した分が売切れるだけでなく、次年度の注文が事前に取れるようになりました。長野県内のスーパーだけでなく、都内の高級百貨店でも販売されるようになりました。

最終的にはお客さんが判断

原価どうこうは関係なく、まず値段を上げることが価格設定の秘訣です。一度、勇気をもって高い値段をつけると決めたら、それが妥当である理由を徹底的に探しましょう。もし見つからないのならば、その値段が妥当だと自信を持って言えるように、商品レベル、サービスレベルを、何が何でも向上させましょう。しかも継続的にです!

最終的には、その商品が売れるかどうかで、その値段が妥当かどうかが分かります。マルシェなどでテストしてみるのがよいでしょう。

P.S.
ただし価値を高める努力ができないのであれば、あなたはやはり安い値段で販売を続けたほうが良いです。あしからず~。

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年には新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞。
2016年より中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナーとしても活動中。

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