酸っぱいモバイル葡萄園

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前回ブログの続編です。

農業で大切な作業に、間引きがあります。果物でも野菜でも、放っておくと、どんどんなってしまいます。それらがすべて美味しく実り、売り上げにもつながれば良いのですが、そんなにうまくはいきません。

栄養が分散してしまうからです。またギュウギュウ詰めだと、お互いの作物がぶつかり合って、割れてしまったりします。

ブドウの場合も同じです。生育に合わせて、房を落とし、粒を落とします。そして一部の良い房だけを残していきます。農業初心者は、房を落とすのは勿体ない!と感じてしまいます。そしてそれらが全て売り上げになるような淡い期待をもってしまいます。そして失敗します。

しかし熟練のプロ農家は、躊躇せずに房を切り落としていきます。立派で美味しいブドウを作り上げるためです。すごいですよね。

間引いたブドウは、切り落としてお終いです。まだ若く青い段階でどんどん落としていきます。

そのブドウを何かに活用できないかな?と考えたことがあります。そしてある程度かたちの整った房をかき集めて、何となくマルシェにもっていってみました。別に店頭販売をするわけではありません。こんなもの売れませんから(笑)

何をしたかというと、マルシェテントの格子部分にくくり付け、ぶら下げたのです。テントの中に、ブドウ園を再現するためです。お客さんに、今の季節のブドウ園を体感してもらおうと考えたわけです。

確かにお客さんの目を引きました。皆さん興味津々です。しかし大半の人が、予想外のこんな反応をしました。

「このレプリカ、よくできていますね。」

え!?ちゃいます、ちゃいます!これレプリカちゃいますよ!本物でっせ、奥さん。というと、皆さん驚きます。「これが収穫の数カ月前のブドウなんですか?」って。

お客さんにとって葡萄のイメージとは、秋収穫期の色づいた房。それがブドウの全てなのです。だから若く青いブドウを見ると、レプリカと間違ってしまいます。これは僕にとって、大発見でした。ブドウ農家で成長過程の青いブドウに見慣れていると気づかないことです。都会の人の頭の中を垣間見た瞬間でした。

そして多くのお客さんはこんな質問をしてきます。「これはもう食べられるのですか?」
僕の答えは決まってこれでした。「勇気のある人には食べられます。」

勇気のあるお客さん(?)は、ブドウの粒をつまんで食べます。そして「うわ、酸っぱい!」と顔をしかめます。

「収穫数カ月前のブドウの味ってこんなんなんだ!いい経験になりました。ありがとう」と言って、ほかの商品をしっかり買って帰ってくれます。まいど!

ここでの学びは、

・間引いたブドウを、食べる目的ではなく、観賞用に(客引き用に)使える。
・都会の人は、若く青いブドウを見たことないので、それが本物だと思わない。

要するに、あなたの商品にとって付加価値”情報”となります。そしてお客さんとちょっとコミカルで温かい会話へとつながるのです。

あなたがブドウ農家なら上記取り組みをぜひお試しあれ。あなたがその他の農家でも、同じようなことができないか考えてみましょう。

果物であれば、たいがい応用が効きます。トマトでもできるかもしれませんね。

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年には新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞。
2016年より中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナーとしても活動中。

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