県庁の農産物マーケティング 「マーケティング機能の2つ目は・・・」

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1番目が「市場調査」、2番目は「販路開拓」支援です。

では、県が改めて、販路開拓の支援を行う理由は何でしょうか。

ずばり言います・・・

県はその信用力を活かし

個々では出会えない商談会等の場を提供  できるからです。

個々の生産者や事業者は、販路開拓をしたくても、どこにアタックしたらよいのか、ドアをノックしたとしても、相手にしてくれないことが多いのです。

そこで、県がその信用を活かし、スーパーや外食・中食事業者、加工用事業者等の求める米・野菜・果実を情報収集し、それにかなう生産者や事業者等を募り、マッチィングします。

県が間に入れば、お互いに安心して商談に望めるという信頼の場を形成できるということです。

(お互いの取引に貢献できる幸せな県=幸県 です)

しかし、実際に商談を行ったら、行き違いや、進行上の不手際など、不満が増大すれば継続することはできません。県は、対応する職員数が不足する場合は、委託事業者にアウトソーシングすることも少なからずありますが、県庁の内部に商談会を開催するノウハウを内製化することが、担当者が代わっても商談会が継続する維持装置となります。

ところで・・・

個々の商談会のやり取りを聞いていると、どうしても バイヤー側が高圧的で、生産者側の気が引けている印象 を持ちます。

たぶん、商談会の雰囲気はこれがふつうと思われます。

なぜ、そんな雰囲気が生まれるのでしょうか。

その理由の一つがミクロ経済学でいう

 情報の非対称 です。

情報の非対称とは、ある事柄に関連する知識をどれだけ入手しているかについて差があるとき、それを情報の非対称といいます。

今は、顧客のニーズの多様化で、あらゆる市場が細分化され、また流動化しており、顧客が何を求めているのか把握することは容易ではなりません。

顧客が求めていることを知っているのは、生産者や加工製造業者よりも、顧客に頻繁に接しているバイヤーのほうですネ。

つまり、顧客のニーズについては、生産者とバイヤーで情報の非対称性があると思います。

その情報の格差を少しでも減少させるには、何をすればいいでしょうか。

一つは、単純です。

バイヤーに顧客について知っている情報を開示させることです。

どうやって・・・

質問をすればいい のです。

バイヤーが何を求めているのか話してもらい、その求めているものが、自らの商品に当てはまるか見極める。

当然、自らの商品もFCPシートに整理しており、商品コンセプトやターゲット客を設定しています。

ここで、情報の非対称の一部が是正されます。

そんなにうまくいかない、バイヤーがやすやすと話してくれないと思う人がいるかもしれません。

でも、そういうバイヤーとは縁がなかったとあきらめることも必要です。話し合いができる相手と限られた時間を使うべきです。

実は、相手のバイヤーを知る手立ては他にもあります。

それは次回に。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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