生産者は、商談会の「情報の非対称」にどう対処するか

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生産者が相手のバイヤーを知る手立ては・・・

バイヤーの所属企業が予めわかっていればですが、

バイヤーの管轄する店舗に実際に行って見る ことです。

東京に仕事や会議等があれば、何とかそのバイヤーのいるスーパーや百貨店の生鮮品・

食品加工品売り場に行き、お客様の反応を含め観察し、相手の情報を得ることは、限られた時間で商談をどう持っていくかのシュミレーションにもなるでしょう。

そこまでやらなくても、という声は必ずあると思います。

しかし、東京でどういう時間を費やすかは自分自身で決めることです。

何かを諦めて、何かを選択する。

「今回の商談は是非成約したい」という思いが強ければ、そういう行動を選択することはありうるでしょう。

これを、ミクロ経済学では、

人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している

といいます。

生鮮品の売り場を見て、どういう商品を中心に売ろうとしているのか、品揃え、価格帯はどうか、つぶさに自分の目で見ることです。

どの客層がターゲットなのか、どこに特徴があるのかを推測します。

相手を知ることは、自らの商談を進めるうえで重要です。

それにより、情報の非対称をカバーします。

ちなみに、私は東京に行った時は、東京駅構内にある全国の農産物加工品を扱う売り場R店を定点チェックしています。POP広告が大変参考になります。

情報の非対称は、生産者側が有利になることもあります。

それには前提があります。

競合する主な産地商品を知っていて、自らの商品がそれに勝る(違う)ことを説明できることです。

また、生産者ならではの情報を提供し、バイヤーをうならせ、信頼に足る生産者と思わせることです。

私は、県内でキノコを生産するグループのリーダーから、ある驚きの話を聞きました。

それは・・・

仲間の生産者たちは、どんなに酔っても、夜中の12時には家に帰り、12時~13時までの

真夜中の1時間、ジーとキノコが成長するのを見続ける とのこと。

実際、キノコは深夜に成長するので、グッと伸びるのが見える と言います (私は見たことがありませんが)。そのリーダーは、仲間が「命を育てている」のを実感してほしい、誇りある仕事をしているとのプライドを持ってほしいため、と言っています。

ぶなしめじ

そういう情報は、バイヤーはふつう知らないでしょう。

そして、自らのキノコ生産グループの商品パンフレッドには、

「使命 ◆究極のきのこを作る ◆きのこ作りは人間作り」 を掲げています。

このグループの取引制約率は高いです。それも、中長期の取引につながっています。

最近は成約率を高めるため、予めバイヤーの求める商品を把握しておいて生産者を募る、逆に生産者の商品を知らせておいて、バイヤーを募るなどの事前マッチィングをするケースがあります。

色々なタイプの商談会を経験し、限られ時間をどう有効に商談会に使い、売上アップに結び付けるか。

それには何が必要でしょうか・・・。

県庁等の開催する 年間商談会スケジュール を知ることです。

何をどう準備するか、行動が計画化できます。

そこまで書いてきて、

今、ナ・ナ・ナント、読者の一人(県庁関係の方)から情報が送られてきました。

5月9日、10日に長野県が関わる商談会の説明会を行うとのことです。

ここをクリックしてみてください。情報が得られます。

http://www.icon-nagano.or.jp/cms/modules/contents/page/00301.html

説明会に参加するかは、皆さんの当日のスケジュール調整でしょうが、機会費用、トレードオフに直面する中での意思決定となります。

ここで、

私がかつて、県庁主催の商談会説明会等の挨拶で触れた、ある言葉を記します。

それは・・・

準備をした人に幸運は訪れる!

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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