県庁のマーケティング・コラム2「地産地消・上田城千本桜祭り直売編③」

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4月7日、冷たい雨が降り続く中、カッパ姿で私のS直売所支援が始まりました。S直売所の組合長さん、ベテランの女性Yさんに挨拶し、本日の商品を確認。
おやき50個(辛ナス、野沢菜)100円、リンゴチップ35個150円、冬菜100円、ウド、チョコレートという品揃え。

さあ、戦略仮説をもとに、与えられた商品を、当番である午後1時までどう売るか、筋道を集中して考える。
結果から先に報告すると・・・午前中でおやき・リンゴチップ がナント 完売!(午後、追加発注、結果は確認できず)冬菜もそれなりに売れました。

では、この日とった戦略とは・・・まず

「その場の環境を活かす」ストーリーは、

その日の天候から考えて、「寒い雨の日なので、足早に帰る人が多いだろう。だから、“おやきの温かさをバスの中で“とアピールする。

「100円で温かさをゲットできる。心もお腹も」と連想させる。また、あったかーいおやきで呼び、リンゴチップをバス車中で、との関連購買を狙う。斜め左の「おやき専門店」との違いを出し、隣の休憩所の方たちへのアプローチ。

次に、ポップ広告は・・・
寒い雨の日、お客様への情報提供だけではなく、売るほうも戦意が上がらないので、どう売るのかを、店側の方に見せる必要ありPOP広告は、顧客向けだけではなく、売り手の方たちの意思統一・戦意向上にもなります。

次のように、赤マジックで書き加えました。
おやきには「雨の日は、あったか~いおやきが美味い」
リンゴチップには「バスの中で食べると、リンゴチップでホッペが落ちる!」

接近戦を挑むとは・・・
客数が少ないので、通る1人1人が大切。「雨の中、ありがとういございます」と1人1人に声掛け。「寒い日は、おやきに限ります」と連呼! 明るく接する。「ここのおやきは違う」と小声で話す。斜め左の「おやき専門店」は蒸しおやきなので、「焼きナス」の良さを説明(他店を刺激しない)。向かいは1,000円パックが売り。ならこちらは、「100円ばら売り」を強調(弱者の戦略)。さらに、

「雨の中、気をつけてお帰りください」と声掛け。
周りの人が聞いていて、お客様を大切にする姿勢を感じてもらったのか、買ってくれるお客が現れ、よい循環に。究極のお客様への声掛けは、ナント・・・隣のおぎのや販売兄ちゃんが大きな声で発した一言・・・この店だけが売れてる、たぶん一番売れている!」

聞いていたお客様が反応したのは言うまでもありません。ありがたや、ありがたや。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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