5月13日に、新潟市で講演をしてきました。
6次化推進連絡会という会合内での講演です。タイトルは「現場から見た6次化」。
生産者向けではなく、6次産業化をサポートする側にいる方たちへの講義でした。新潟県や長野県の農政関係者、農水省、新聞社、銀行の方などが聞きにきてくれました。
講演時間30分のあと、質疑応答がさらに1時間ほど続きました。質問を受けながら、行政側にいる方たちの悩みを理解することができましたし、その真剣さも伝わってきました。
僕自身、6次化事業者として商品企画から販売、輸出まで全てやってきました。ほぼ一通りのトラブルも経験してきたので、その生々しい現場の事実と解決の方向性をお伝えしました。
このブログで講演会の内容を全て書き綴ることはできませんが、重要なポイントをお伝えしたいと思います。農業者のあなたにも参考になる内容です。
何から手をつけてよいか分からない病
6次化に取り組んでいる/取り組もうと考えているあなたは、多くの悩みを抱えているはずです。それは真っ暗闇を手さぐりで進むような感覚だと思います。1次の栽培に加えて、今まで経験のない2次の加工、3次の販売にも取り組まなければなりません。
分からないことだらけですよね。
加工品のコンセプトをどうやって作ればよいか?加工方法は?
委託先は?品質管理方法は?バーコード(JANコード)のつくり方は?
営業ってどうやればいいの?展示会でのバイヤーとのやり取り・・・・
もう目をそらしたくなります。実際そらしている人も多々見かけます。
2次や3次に力を入れたとしても、それに気を取られて、本来の栽培が疎かになっては本末転倒。やはり農家は地に足をつけて、生産に力を入れなければなりません。そして、その栽培作業の合間に、6次化を進めなければなりません。
分かります。あなたの気持ち。頭の中はもうぐちゃぐちゃになります。僕もかつてそうでした。
行政からは、6次化について、やるべきことを一気に提示されます。あの展示会にも出て、この商談会にも出て、FCPシートを書いて、食品品質セミナーで学んで、補助金申請して・・・・
やることが多すぎると、動けなくなります。何から手をつけてよいか分からないからです。
6次化事業者の抱える課題はいろいろありますが、「何から手をつけてよいか分からない」ことが大きな問題の一つなのです。
時間軸で優先度をつける
そんなときはやることに優先度をつけましょう。でも単なる優先度ではいけません。
6次化は長期的な取り組みです。時間軸のなかで、優先度を考えましょう。数年に渡るスパンで考えます。今、自分がどこのステージにいるかを把握して、そして今やるべきことに集中するのです。
たとえば、6次化を立ち上げたばかりの人が、輸出商談会に出るのは時期尚早です。大規模なインターネット販売サイトも不要です。まずは商品コンセプト、ターゲット顧客、最低限の品質管理の方法などを学ぶのが先決。
以下は各ステージで取り組むことのイメージです。精査はしていないので、あくまで一例ということでご理解ください。
自分が一体どこのステージにいるか分からない場合は、行政に聞いてもいいし、僕に質問してくれても良いですよ。
このような内容をいずれはしっかり整理して、何らかの形であなたに提供できるようにする予定です。冊子にまとめるかもしれませんし、セミナーでお伝えする形かもしれません。
-田中良介
追伸:
にいがた6次化フェア2016が11月16日~18日に開催されます。6次化の展示商談会です。6次化の本質的な課題を解決していく場でもあります。僕も運営サポートとして関わっています。
http://foodmesse.jp/6fair/event
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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