ここ2回ほどのブログで、商談会の参加者がその後の行動を速やかに行う重要性を書いてきました。それは、商談会が生産者と実需者(バイヤー)の出会う場であり、その後、同じレールを敷いて走っていこうという状況をつくれるかということです。
私の言いたいことを、違った事例で説明してみます。
私が6年前東京の大学院に通っていた時、昼食でよく通ったうどん屋がありました。特段変わったメニューや味がすこぶる美味だったわけでもありません。近所には他に多くの食べ物屋がありました。その中で、このうどん屋はなぜか繁盛していました。間もなく理由がわかりました。その理由とは・・・
うどん屋で働く2人の女性(30代~40代でしょうか、たぶん)の応対です。忙しいですから、入って席に着き、注文して食べ、勘定を払うことで、とうどん屋の商売は完結しています。そして、応対も普通とほとんど変わりません。
問題はそのあとです・・・そう別れ際です。
勘定処と出口までの5メートルほどで起こる出来事です。
まず、1人の女性がお客様の背中に向かって「ありがとうございました。」と声掛けします。さらにもう1人が戸を開けて閉めるまでにもう一度「ありがとうございました。またよろしくお願いします」と発するのです。
最初は、第一声で終わりと思っているところに思いがけずもう一回声掛けされるので、丁寧だなと思っていましたし、忙しい時も多いので、たまたまかなと感じましたが、行くたびに、全員にしているのです。これは明らかに意識した連係プレーです。
これは価値あるサービスと思います。かけられた方は元気が出るし、とても爽やかに外に出ることができ、たとえ普通の味としか感じていなくても、気分的に「美味しかった」に変わり、また来ようとなるのです。
この女性2人の声掛けは、お客様が去る場面で行なわれていることに大きな意味があります。うどん屋という共通の場に縁あって、一緒に過ごしたということ。また同じ道=レールを走っていきたいですね、つまりは、また来ていただき食事の時間を作り手と食べ手として共有したいですね、という思いが込められています(いると思うのですが・・・私は)。
商談会も同じです。
今後もお付き合いしたい(成約したい)と思えば、うどん屋の出口までの時間(勘定は終わっているが共通の場は終わっていない6~7秒間)を、商談会後の2日間と想定し、声掛け=電話やメール、FAX、手紙を出し、アクションを起こすことです。(優先順位は必要ですが)。うどん屋の女性も商談会の参加者も、共通するのは執念です。
2つ目の事例も紹介しますが、考えさせられるものです。
それは次回に・・・。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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