小規模農業者にとって安定供給は間違い?

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前回ブログで、「限定」という言葉には不思議な魅力があることを書きました。

これは小規模農業者が営業活動をするうえで、とても重要な概念です。僕はブドウ農家で営業をやっていたとき、これを徹底的に使っていました。営業のテクニックでもあります。

ぶどう農園で栽培できる収穫量には限りがあります。わずか1.7haの農地なので、収穫量は必然的に決まってきます。加工品(6次産業化)として、干しブドウやジュースを作っていましたが、良質な原料にこだわると、大量生産は不可能です。

どれだけお客さんのニーズがあっても、供給量に限界があるわけです。ということは、それらを安い値段で出していたら、十分な利益につながりません。農家は農産物を安い値段で売りすぎているので、妥当な価格までしっかり値上げをしなければなりません。

しかしここで問題が生じます。

価格を上げると、やはり買ってくれるお客さんが減ります。お客さんの心情としては、「ほかでもっと安いものを買えばよい」といった感じです。農業者はそれを恐れて、価格を上げることができません。僕も昔はとても恐れていました。

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このジレンマを打開するのが、限定という概念

限定というのは何も数量の限定だけではありません。期間の限定もあります。大きく分けるとこの二つの限定があります。

・数量の限定
・期間の限定

期間の限定とは、例えば、割引や、なんらかの付加サービスを提供できる期間のことを言います。またオマケが付く期間の場合もあります。

僕は、バイヤーに対して営業するときも、マルシェで販売するときも、個人客へダイレクトメールを出すときも、すべてこの限定を強調していました。いつでもどこでも手に入る商品を、お客さんは高価格帯で買いたいとは思わないからです。

商品の味や魅力を必死に伝えることも大切ですが、限定性(数量や期間)を伝えることも同じくらい大切です。商品紹介の一部であると捉えてください。そして、その限定である理由も同時に伝えましょう。理由がないと、嘘っぽく聞こえます。

FCPシート(=バイヤーとコミュニケーションをとるための商品紹介シート)に、その欄があっても良いくらいだと思います。

強調すべきは安定供給か?限定か?

一般的に行政から展示会出展において指導されるのは、「安定供給」というキーワードです。バイヤーさんも、安定供給をとても重要視します。十分な数量を確保してくださいと言われます。あなたは当然、安定供給の努力をしなければなりません。

しかし一方で・・・

小規模農業者ができる安定供給なんて、たかが知れているのも事実です。生産者であるあなたは、この「安定供給」という言葉自体にとらわれすぎてはいけません。安定供給ができないからと、はなから取引をあきらめていませんか?

あなたの限られた生産能力を、「限定」という切り口で強みに変えてしまいましょう。

いつでもどこでも安定供給のできる商品には魅力はありません。人は、手に入れられないものを手に入れたくなります。それはバイヤーとて同じです。「限定」を全面に押し出してみてください。

どのように「限定」を伝えるのか?

セールストークのなかで、限定を強調するのは、最後のほうです。

前半では、十分に商品のすばらしさを語り、お客さんの意見もヒヤリングします。そしてお客さんの購入したい感情が高まってきたときに、それが限定商品であることを伝えます。

あまりテクニック的なことは好きではありませんが、この順番で営業トークを組み立てると、成約にいたる可能性が高くなります。経験上、これは間違いありません。

念のため言っておきますが、数量や期間について嘘を言ってはいけません。長期的にお客さんと信頼関係を築けなくなります。

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。Web制作やコンテンツ制作の評価も高い。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年 新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞
2016年 中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナー認定
2017年より日本食糧新聞社 特派員としても活動中
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