資金力もリソースもない小規模農家が、海外に進出することは可能でしょうか?
国は農作物の輸出に力を入れています。その方針に異議を唱える人も多いです。農家が輸出に手をだして、儲かるのか?海外市場を開拓するには、それなりの資金力が必要です。
前職の農業法人で働きはじめたころ、実はタイへ6次化商品を売りこみに行きました。自費でいきました。結果は、惨敗でした・・・。現地の人はお世辞で「Delicious!」とはいってくれました。でも実際は、価格面、ニーズ面で箸にも棒にもかかりませんでした。
そのあとは、シンガポールと香港に焦点を絞りました。所得レベルの高い国だからです。
国内で開かれる海外バイヤーとの商談会にも、何度も何度も出てみました。しかし、なかなか具体的に商談が進みませんでした。ジェトロ担当者にもかなり相談にのってもらいました。
しかしあるセミナーで、講師の方が言っていたことが、僕にとって突破口となりました。その一言とは、
「本気なら現地のバイヤーに会いに行かないといけない。」
そのときピンときました。
小さな農家なので、資金力的に、現地に売り込みに行くことは無理だと決めつけていました。大手企業や行政の人が、バンバンに海外出張に行っているのを、当時僕は指をくわえて見ていました。
でもそれでは何も変わらないので、行ってやろうと、半ば強引に渡航計画を立てました。
資金集めのため僕がとった行動とは・・・
実は海外へ行きたい一心で、資金集めのため国内で6次化商品を売りまくりました。僕の行動の半分は、そんな下心からきています。(あ、ばらしちゃった。)
かなり売ったのですが、その収益の大部分は、海外営業用にプールするわけにはいきませんでした。会社の経営的には当然といえば当然です。よって、その他の資金調達方法も調べました。するとジェトロの仲の良い担当者から、県から一部助成金がでるという情報が入ってきました。
商品売り上げと助成金を足し合わせて、執念でシンガポールに行くことができました。やっとの想いで行けたシンガポールなので、現地でもう無茶苦茶に営業をかけまくりました。そして数件の商談を成立させることができました。これが一回目。
そして帰国するやいなや、こりずにまたシンガポールへの渡航計画を立てました。商売が進展するチャンスがあったからです。
またもや資金はありませんでした。そんなときに、新潟で6次化大賞オーディションというのもが開かれることを知りました。審査員の前で、6次産業化の取り組みをプレゼンし、グランプリをとれば70万円がでるというのです。
とっさに「これや!」と思いました。
詳しくは省略しますが、その70万円欲しさが強力なパワーとなり、見事グランプリを取得することができました。グランプリ取得が決まった1時間後に、シンガポール向け航空券を発券してもらいました。
2回目のシンガポール渡航でも、商売を広げることができました。
情報を取りに行く重要性
あなたが小規模農家の場合、海外へ進出する資金的ゆとりはないと思います。どれだけ進出したい思いがあってもです。どこかから資金を調達しなければなりません。
そのためには、まずは国内でしっかり稼ぐ必要があります。安定的に売り上げていくセールス基盤が必要です。そこにプラスして都道府県などからの補助金を当てます。6次化大賞のような賞金稼ぎは当てにできませんが、その他の手段も調べればいろいろあるはずです。
あとは、長谷川正之さんがブログで頻繁に指摘されている、執念が必要です。執念だけで資金は集まりませんが、情報を集めることはできます。大々的に公開されていない意外な補助金や支援があるものです。その情報を取りに行けるかどうかが、分かれ道なのです。
海外営業のやり方については、あまりにも書くことが多いので、後日ゆっくり書きます。
-田中良介
追伸:世界食品トレンドをもっと学びたい方は、以下のメルマガにご登録ください。食品企業の商品開発やマーケティングに役立つ最先端の潮流を、田中が解説しています。
メルマガ「世界の最新食品トレンドを知る」
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
この投稿者の最近の記事
【田中良介】2018年7月17日国際線での大騒動
【田中良介】2018年6月16日これからの商品開発のヒント
【田中良介】2018年6月12日サラダチキンが伝わらない!?
【田中良介】2018年5月31日境界線が曖昧になってきている!