対応の仕方によって、お客さんの反応がガラリと変わる事例をご紹介します。共同執筆者の長谷川さんが書いた、以下の記事を読んでいない方は、先にお読みください。
長谷川さんの実体験として、旅館に泊まったあと、疲れて自宅に帰ってくると、旅館の女将から帰路を気づかったFaxが届いていて感動したという内容です。この対応のおかげで、その旅館のリピート客が多いということです。
長谷川さんのブログを読んでいて、農業者としての僕の実体験を思い出したので、あなたにシェアしたいと思います。
僕は、1か月半に一回のペースで、お客さんあてにお便りを書いていました。要するにダイレクトメールです。ブドウ加工品(6次化商品)の注文書を同封していました。一回に約1000人のお客さんに出していました。
一回出すと、ある一定割合のお客さんが注文してくれました。一般的なダイレクトメールに比べると、かなり良い数値だと思います。
しかしその反応率が3倍になったことがありました。それは、お便りの冒頭にそのお客さんの名前を手書きで入れたときでした。本文そのものは共通でしたが、やはりお客さんは個別対応に反応してくれたのだと思います。
これはお客さんの感動が3倍になったと、とらえることもできます。
しかしこれで驚いてはいけません。以下のダイレクトメールをまずご覧ください。
xxxxxさま
ぶどう新芽のお写真ありがとうございました!
根が出なかったものについては、葉っぱと新芽を食べちゃうのも手です。ヨーロッパでは、葉を塩漬けにしてお肉に巻いたりするそうです。また新芽を天ぷらにしたら、タラの芽のようなお味で美味しですよ!葡萄独特の酸味がきいていて、不思議な感じです。春の珍味ですね。
今後ともよろしくお願いします。
P.S. 弊社加工品の案内を同封したので、よろしければご覧ください!
xxx農園 田中良介
これはお客さんからメールできた質問に対して、その返信を便箋のお便りにしたものです。完全にそのお客様個別あてのダイレクトメールです。
この類のお便りを出した時は、注文率100%でした。
ただし手間はかかります。お客さんの感動を呼ぶためには、めんどくさいことを地道にこなさなければなりません。時間もかかります。
忙しい農業者がこれらを実践していくための現実策としては、
1.あらかじめ様式を準備しておき、それをカスタマイズする。
2.上位20%の上得意客から、個別対応に取り組む。
上位のお客さんとは、自社と価値観を共有できる顧客を指します。こういうお客さんは必然的に購入額も多い傾向にあります。
そしてもう一点大切なこと。
商品の価値を理解しようとせず、安易にディスカントを要求してくるお客さんに、上で述べたような個別レターを出しても、あなたの貴重な労力が無駄になります。
だからあなたと価値観を共有できるお客さんを見つけて、彼らにもっと喜んでもうらうにはどうしたらよいかを考えましょう。そのほうが圧倒的に楽しいです。
-田中良介
PS.
田植えシーズン真っ盛りです。僕の知り合いのお米農家さんも大忙しです。頑張ってください!
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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