大前研一さんから電話がきた件

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前職の農業法人で働いていた時のことです。

僕は6次化商品である干しブドウを売り歩いていました。しかし数年前は全く売れていませんでした。飲食店へ紹介したときも、展示会で試食をふるまったときも食べた人は皆さん「おいしいですね」と言ってくれます。

でも購入するとなると話が別。「おいしいけど、この値段じゃね~」ということになります。

要するに、なんのブランド力もない商品を、得体のしれない営業マンから買うのって勇気いりますよね。しかもこの価格帯(通常の干しブドウの3倍くらい)です。よく飛び込み営業もしましたが、「こいつあやしいぞ」と見られて、成約に至ることはほとんどありませんでした。

売れない時期がずーっと続いた後、考えたのが、ブランド力のある人の力を借りることでした。

当時僕は、経営コンサルタントの大前研一さんの本をよく読んでいました。大前さんに食べてもらい、推薦文をもらおうと考えました。

大前さんの事務局みたいなところへ連絡して「干しブドウを食べて、推薦文を書いてほしい」と依頼しました。

しかし事務局の方からこう言われました。
「最近、大前さんは本の帯(本の推薦コメント)も書かなくなったし、期待できないよ。それでもよかったらサンプル送って。」

ダメ元でサンプルを送りました。
すると次の日・・・電話がかかってきました。

「大前ですが、田中さんはいますか?」
田中:「はい、私ですが。どちらの大前さんですか?」
「大前研一です。」
田中:(うぎゃー!本物の大前さんやー!)

大前さんは、干しブドウがとてもおいしかったと言ってくれました。そして、なななんと、快く干しブドウの推薦文を書いてくださいました。

大前さん

”恐る恐る食べたが超うまかった!衝撃的だ!”

それからというもの、この推薦文を持って僕は営業に回りました。飛び込みをしても、マルシェで売っても、展示会でも、お客さんの反応が激変しました。

「この営業マンもこの農業法人もよく分からないが、大前研一さんがおいしいと言ってくれているのだから、間違いなさそう。」(お客さんの心の中を読み解くと、こんな感じだと思います。)

とくに展示商談会ではそれがとても威力を発揮しました。僕の営業は、この推薦文をバイヤーにチラチラ見せるだけでした。

小規模農業者であるあなたの屋号や会社名、そして商品ブランドは、まだ世の中に浸透していないと思います。商品がいくら良くても、営業をすると門前払いになることがあります。厳しいようですが、これが僕が経験した現実です。

そのときに大きな力になるのが推薦文です。あなたの商品を食べた人からの推薦文です。その人が有名人であればあるほど効果を発揮します。世間の人は、有名人に魅了されているからです。

そして推薦文は、あなたのどんなに素晴らしい営業トークよりも、はるかに力があります。あなたがどれだけ自社商品の良さを説いても、それは自画自賛に聞こえてしまいますが、第3者の声には、客観的な説得力があるからです。

では実際どうやって推薦文を集めればよいのでしょうか?
その詳細手法は次回以降にお伝えします。

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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