クリーンラベル(Clean labels)が表す世界的なトレンド

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※ 本記事は2016年に執筆したものですが、2018年現在、日本の食品産業がこの考え方に近づいてきたので、改めて掲載しました。食品企業にとって必須の概念です。

食品商品開発を進めるうえで、とても重要なキーワードをお伝えします。

先週、フィリピンで開かれた国際展示会に参加してきました。各国の人が集まっているなかで、様々な商品を見ました。また多くの人と意見交換をしました。そのなかで浮かび上がってきた注目すべきキーワードです。

これは世界的な傾向です。もしあなたが商品開発やマーケティングに取り組んでいるなら、いち早くこの考え方を取り込んでください。

そのキーワードとは、「クリーンラベル(Clean labels)」というものです。

あなたもよく知っている食のキーワードに、無添加、無農薬、オーガニックなどがあると思います。これらはすべて健康につながる概念です。

では、クリーンラベルとは何でしょうか?
それは消費者の「知りたい」という欲求を満たすための概念です。

消費者は何を知りたがっているのでしょうか?加工品を販売していると何となく分かるかもしれません。私の経験上、お客さんから突っ込んだ質問を受けることがあります。

原材料は何ですか?
原材料はどこのものを使っていますか?
添加物は入っていますか?
お砂糖は入っていますか?
どうやって製造しているのですか?
どこで製造しているのですか?
あなた自身が製造しているのですか?

ちなみにこれらは百貨店バイヤーからだけの質問ではありません。一般消費者からも受けます。生産者はこれらの質問に答えられなければなりません。

当然答えられるよ!と思ったかもしれませんが、ここに落とし穴があります。

本当にすべてを答えられますか?
原材料がどこから来たか本当にすべて理解していますか?
砂糖はどこ産のものか本当に理解していますか?
また製造工程は、標準化されていますか?
製造委託先の工程や使っている添加物を把握していますか?

まずはあなたがすべてを理解していなければなりません。そして、お客さんに、分かりやすく、シンプルに答えなければなりません。毎回、お客さんに口頭説明をできるわけではないので、ラベルにしっかり記載しなければなりません。

すべてがクリアでなければならないのです。

お客さんにとって分かりやすいラベル

すべてのことをクリアに、透明性を持つことが大切です。お客さんに説明できない要素をなくします。そういう観点で加工品のあるべき姿を突き詰めていくと、以下のトレンドが浮かび上がってきます。

・添加物を使わない。説明のつかないものを添加しない。
・使用する原材料を少なくする。出どころの明確なもののみを使う。
・製造工程をシンプルにする。必要以上の加工をしない。

そうすることによって、商品ラベルはシンプルになります。

無添加で、原材料も限られているため、表示がシンプルになるのです。そして長い説明文も不要になります。お客さんが商品を手に取って、裏ラベルを見れば、それがどういう原料から作られていて、誰がどのように作ったのかが、簡単にイメージできるというわけです。

私は商品を買う前に、必ず裏ラベルをチェックします。ビネガーの原材料に、”お酢”と書いてあったときは、とても残念に思いました。その原料の中には、いったい何が入っているんだーーー!これってクリーンラベルではないですよね。

単純に無添加や有機無農薬といったキーワードは、今の時代、メーカーや生産者の自己満足であると捉えられることがあります。ぜひお客さんから見て分かりやすい(=クリーンラベル)という観点で、あなたの商品をチェックしてみてください。

-田中良介

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追伸2:クリーンラベルについて更に詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
「天然」は必ずしも安心安全を意味しない(クリーンラベルから学ぶ)
クリーンラベルとクリアーラベル(世界の食品トレンドから学ぶ)
クリーンラベルの次の姿

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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