先日、僕がコンサルをしているクライアントさんと一緒に、スーパーへ商談に行ってきました。売り込む商品は、6次化の加工品と生鮮野菜です。
僕は農産物の商談が大好きでウキウキしてしまいます(変態ですね)。自分がほれ込んだ農産物を相手に勧めることが純粋に好きです。それと同時に、商談の場では自分の今まで知らなかったことを知ることができます。これがさらに楽しいわけです。
商談に臨む前にはもちろん準備をします。実際、そのスーパー売り場に足を運んで、類似商品の調査をするところから始まります。来店客がどんな人なのかじっくり観察します。
そのスーパーさんが何に魅力を感じるのかを思い浮かべます。今回の商談で全面に押し出す商品を決めます。
そしてその商品価値を支える情報とメッセージを組み立てます。たとえば、無添加であるとか、地方の素材を使っているとかです。それから多くの人が見落としがちなのが、生産者の思いや人柄を伝えること。これも商品価値の一部なのです。
これらはすべて仮説です。本当にこの価格で、このメッセージで、そのスーパーさんがこの商品を欲しいと思うかは分かりません。実際商談をするまで分からないのです。
商談してみると、想定外のことが必ず起こります。それは相手が何に価値を感じているかです。こちらのメッセージが響かなかったり、また逆にこちらが気づいていなかった商品の魅力を指摘されることもあります。価格について、ディスカウント交渉されることもありますし、そのままの価格でOKの場合もあります。
自分が立てた仮説と、バイヤーさんのニーズとの違いを知ることが、僕は楽しくて楽しくて仕方がないのです。
商談がうまくいかなかった場合も、何が相手のニーズと異なっていたのかを、バイヤーさんに根ほり葉ほり聞きます。ここにまた発見があります。ここで得た情報は、次回に即生かすことができます。
商談の席では、同時にバイヤーさんの価値観を確認します。価値観とは、食や農業に対する思いです。たとえば、提供したサンプルをどのように味わい、どのように扱うかを見ます。長期的な関係を築ける相手かどうかを見極めるためです。
また生産者にとってわが子のような商品を、粗暴に扱うバイヤーさんとは、価値観が合わないと判断をします(そんな悪い人はめったにいませんが)。どんなに良い取引条件であっても、そのときはお断りするようにしています。
商談現場がいかに情報の宝庫か、お分かりいただけますか?
商談に臨む手順をまとめます。
1.事前調査
2.相手が欲しがるものの仮説を立てる。
3.商談に臨み、その仮説と先方が望むものの違いを知り、楽しむ!
4.先方の価値観を観察する。自分と価値観があっているか?
5.商談成立しなかった場合は、その理由を相手に確認する。
6.得た情報を持ち帰って、再度戦略を練り直す。(→場合によっては再商談)
農業者のあなたも、これで商談が怖くなくなりますよ。
-田中良介
追伸:今回の商談は、上手くいきました。Win-Winです。
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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