長野県産農畜産物の統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」の食材である「味噌」を全国で一番食べているのは長野県人で、男女とも長寿日本一です。
全国の味噌生産量の約50%が信州味噌で、名実ともに「味噌王国」です。
この味噌は味噌汁、ラーメン、スイーツ他、多くの料理に使われています。
特に、上田地域でしか栽培されていない幻の「糀いらず」という味噌に適した大豆は、「こうじを使わなくても、甘くておいしい味噌ができる」のがいわれです。
前にブログで、「奏龍(なきりゅう)」という味噌を使う飲食店や、信州太郎ぽーくという豚肉を生産する養豚農家のことを話しましたが、この信州味噌という調味料は、上田地域にとって食の消費拡大に欠かせない付加価値のある存在です。そこで、どんな価値があるのか考えることは重要です。
まずは基本的整理として、こうじは、米、麦、大豆などの穀類でつくりますが、主に『麹』という字が使われます。もうひとつの『糀』という字は、 明治時代にできた国字(和製漢字)で、米こうじのみを表します。
信州味噌は「糀」が適切ですが、蒸し米に麹菌をつけて発酵させると、蒸し米の表面を花のように覆っているのがわかります。この様子を表現したのが、『糀』という象形文字です。 「奥ゆかしい」ですね、文化が香りますね(注:個人的見解です)。
また、「あるところ」に載っていた「長野県の名産品、みそ」という文章の中で、「信州味噌が全国的に知られるようになった理由」を2つ紹介しています。
一つは、関東大震災後、信州味噌が東京に救援物資として送られ、好評を得たこと。
二つ目は、第2次世界大戦後の飢えていた時代、味噌が速くできる「速醸法」が生み出され、信州味噌が大量に作られるようになり、多くの人が食糧危機から救われたこと。
そして、Miso is a very rich food,so people were able to become well again. (味噌は非常に栄養価の高い食べ物なので、人々は再び元気になることができた)
そして、This traditional food has amazing power. (この伝統的食べ物は、驚くべき力を持っている)と記されています。
さて、この内容はどこで紹介されている文章か。
それは・・・なんと
平成28年3月の
長野県公立高校入学者選抜後期選抜試験「英語」の出題問題の文章です。
「奥ゆかしい」ですね。中学生に、英語で信州味噌の成り立ちや素晴らしい食べ物であることを、真剣勝負の高校受験の試験場で教えるとは・・・。さすが長野県教育委員会!と褒めたいと思います(注:個人的見解です)。
そこで、調子に乗って今、私の家から車で5分のところにある「味噌屋さん」を紹介します。手前味噌(自慢)になってしまうことをあらかじめ、断っておきます。
上田市上塩尻の原商店は、創業100年余、「信州イゲタ味噌」として、添加物は一切使わない完全手作業で作っている味噌屋さんで、写真にある「量り売り」には訳があります。 それは・・・
ここの味噌は、発酵止めのアルコール等を一切加えないため、常に生き続けています。
無添加のため発酵によるガスの発生で、パック詰めができない、販売方法は「量り売り」のみとのこと。納得です。店では、4種類の味噌があり、私は地元産大豆「糀いらず」と自家栽培米「コシヒカリ」を使用した「伝(つとう)」が味に丸みがあって贔屓(ひいき)です。
また、5代目女将が作る「糀(AMAZAKE)」は、モーニング甘酒として人気があり、私も飲んでいます(江戸時代の甘酒は、夏を乗り切る栄養ドリンクとして飲まれていました)。
今回の気付きは、
身近な暮らしの中で、手前味噌(自慢)の信州味噌を味わうのは、最高の豊かさといえます。 味噌は豆から作られます⇒ そう、その豆は、「豊」の漢字も作っているのです。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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