「能書き」よりも「農書き」

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先日、農業に携わる皆さんと話をしていて、真面目に「長谷川さんは、正直なところ、農業をどう思いますか」と聞かれ、抽象的過ぎて答えられないので、直感的に私はこんな返し方をしました。

「少し離れて、日本人として農業の現状やその力を見直したらどうか」。私に、農業の学術的な知見などありません。ですから、世の中を敢えて「農」という価値でデザインしてみたらどうか、ということです。

具体的には、「のう」のつく漢字熟語を「農」に置き換え(一部違うのもありますが)、日本人として新たに農業の実態や可能性を感じてみるという、シンプルでくだらないやり方(多くの方がそう思うでしょう)です。

以下、紙に書きながら話した中で、ウケたものを記します(約5割のウケ、イチロー以上の打率・・・冗談です)。軽~く読んで下さい(しゃべった内容より、少しこ理屈っぽくなっています、すいません)。

改めて、気楽に思考実験をやってみると、農に置き換えると輝く言葉がたくさんあります。

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能力主義 → 農力主義

「行き過ぎた能力主義」という言葉があります。何でも能力として評価すること。人と人をつなぐとか、バランス感覚や共感力という能力は、どう評価するのでしょうか。かえって、能力主義の徹底で組織の機能や信頼が損なわれた事例が少なからずあります。

一方、農の力については、食べるものを作る人間としての力と、自然や風土と折り合いを付けながら、コミュニティ(ネットワークを含め)で農を遂行する力を併せて「農力」と捉えるならば、今後の地方の展望は少し明るくなる、と私は思います。この農力を基底にした暮らし=ライフスタイルを指向する考え方を、新たに「農力主義」と名付けたらどうでしょうか。20世紀は能力主義、21世紀が農力主義です。

②農耕民族  → 農好民族

永らく若者から、農は儲からないと不人気でしたが、昨今、農は「命を育む職業」という側面に気づく若者が現れ始めています。異常気象や環境変化に直面し、世界的にも食糧不足が叫ばれる中、「農が好きな民族」でなければ、今後生き延びられないでしょう。また、「戦いが好きな民族」よりも、農(食)の価値を世界の人たちとシェアできる農好民族のほうが、世界から愛されると思います(耕→好への変換です)。

③NOといえる日本人 → 農といえる日本人
私の立場は、TPP反対、特にISD条項など問題外でNO。しかし、対外的には、YESかNOかの2元論では言い切れない多面的・重層的な問題が多くあります。その時、少なくとも、基本に「農」を据え、相手の他国にも農があり、命を育む同じ価値観を持つ人たちに思い至るのは、「農といえる日本人」だけです。

④脳梗塞  → 農拘束

脳梗塞とは、脳へ血液を送る血管(動脈)がつまり、その先の大切な脳細胞が死んでしまうことで、体の機能をマヒさせ、死に至らしめる重大な病です。農も縛って拘束すると、担い手がいなくなり荒廃地となって、農死となります。

よって、農を拘束せずオープンにし、多業態から自由な発想を持つ若者達の参入を図り、新しい血を導入することが求められます。これは、農村という閉鎖的な共同体が、外からの人と交わり、風通しの良い雰囲気に変わることでもあります。2次・3次事業者との連携など、付加価値のある農を地域で展開したいですね。

⑤帰納法  → 帰農法

帰納法とは、個別的・特殊的な事例を積み重ね、そこから共通事項で括り一般的・普遍的な規則や法則を見出そうとする論理的推論の方法です。

一方、帰農ですが、かつての高度経済成長下、農村の余剰人口は都会へ流出し離農。しかし、デフレ不況長期化で「地方消滅」というショッキングな言葉も定着しつつある中、他産業・業態に従事していた人たちが、帰ってきて農業に取り組む姿(定年帰農を含む)が少しずつ目につくようになってきました。他産業のノウハウを持って帰農する人達の事例を積み重ね、そこから地方における一般的・普遍的な農を基軸とする社会の在り方を見出そうとする「帰農法」により、地方・農業を活性化していきましょう。

⑥尊皇攘夷論 → 尊農上位論

ペリーの黒船来襲等、外国の脅威にさらされていた江戸時代末期、天皇を尊び、外国勢力を撃退させて日本を守ろうとする過激な思想が尊皇攘夷論でした。

21世紀に入り、TPPや農産物の輸出など、農を巡る国際的環境が大きく変わろうとする今、日本の進む道とは・・・
それは、国民の必需である食料を生み出す「農」を尊び、他国とも協調・共感できるその価値を(最)上位に置くことから導けると信じます。農を巡る他国との貿易交渉等は、どこかで折り合いをつけると覚悟するところから、展開が見えてくると思います(武力を背景とすると、あらぬ方向に行きかねません)。

他にも、・脳下垂体→農家衰退 ・悩殺→農殺 ・感応度→環農度 など話しましたが、省略。今までのブログで、一番真面目な展開となりましたが、実際は、少ししゃべり易い飲み物を飲んでいたせいか、熱い雰囲気で盛り上がりました。

ここでの気づきは、
「NO」ばかりの否定からでは、農は何も生まれません。
様々な「のう」を「農」と置き換え意味を見出し、
⇒ 更に、ノウハウ(know-how:専門的技術や知識)よりも「ノウフ―」(know who:誰が何を知っている)の共有で、人脈・ネットワークづくへ です。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川 正之
アグリフード(風土)アドバイザー

長野県の農産物統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を創設し中心となって推進。また信州6次産業化推進協議会副事務局長として、地域6次産業化を主導。H28年3月をもって任期満了し、地域創生を支援するアグリフード(風土)アドバイザー業務を開始する。長野県内で幅広いネットワークを持つ。現上田市農政課職員。中小企業診断士。
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