百貨店と商談をやって、上手くPRができて、
価格の交渉もスムーズに進み、取引開始日も決まって、
「よし!」と気持ちが高ぶって、
ルンルンと席を立とうとしたとき・・・
「あ、そうそう、販売にあたってJANコードを教えてください。」とバイヤーさん。
「え?じゃんこーど?何ですか、それ?」と僕。
しーん・・・気まずい雰囲気・・・
僕の体験談です。今から思い出しても、恐ろしい光景です。
笑うに笑えない恥ずかしい瞬間です。
これが小規模農家の現実。あなたもまだJANコードを準備してない場合、早めに取得しましょう。JANコードがないがために、本来なら上手くいくはずだった案件を失注することがあります。
ということで、農業者(Producer)のためのJANコード基礎知識を今日は書きたいと思います。
JANコードとは
商品パッケージに貼ってあるバーコードのことです。業界(?)では、これをJANコードと言います。ジャンコードと読みます。スーパーのレジ係が、「ピッ!」とやりすよね。あそこで読み取っているのがJANコードです。
JANコードには、その商品を販売している業者番号(事業者コード)と、商品番号(商品アイテムコード)が入っています。バーコードの下をよく見てください。13ケタの番号が並んでいるはずです。あの番号がJANコードの正体です。バーコードは、それを機械で読み取りやすくするために線で表したものです。
レジで「ピ!」とすると、何がどうなるのでしょうか?
スーパーのパソコンに、どこどこの業者のなになにの商品が一つ売れた、という情報が書き込まれます。何がどれだけ売れているかを把握するためです。週単位や月単位などで、スーパーはそれを集計します。これによって売れ筋やロスが分かります。
ITですねー。すごいですねー。
難しい言葉でいうとPOSシステムいうことになりますが、あまり気にしなくてよいです。
農業者はJANコードをどうやって準備するのか?
まずはあなたの事業者コード(あなたの会社を表す番号)を取得する必要があります。JANコードの最初の9桁部分です。取得は、一般財団法人 流通システム開発センター か、近くの商工会議所で行います。
流通システム開発センターの場合は、インターネット経由での申請です。よって農業者のあなたは、商工会議所で申請することをお勧めします。そのほうが口頭で、詳細を教えてくれますし。
登録申請料を払い込みます
業種や年商によって申請料が変わります。あなたの場合は、年商1億円以下だと思いますので、12960円です(2016年6月現在)。振り込み先は、登録申請をしたときに教えてもらえます。
振り込んだ後、1週間程度でJANコード(事業者コード)が発行されます。封書で連絡がきます。
その通知書を開けたときに、訳の分からない数字がならんでいて、あなたはびっくります。僕もそうでした・・・。
商品番号を自分で決めます
通知書には9桁の番号が並んでいます。これがあなたの会社としての番号です。
この後ろに、3桁の商品アイテムコードをつなげます。この3桁を決めるのはあなたです。商品ごとに番号を001、002、003・・・と割り振ります(最大999)。自由に割り振って良いのですが、管理しやすいように連番にすることをお勧めします。
商品サイズや内容量、素材、味などが異なる場合、それぞれに異なる番号を付けます。何になんの番号を付けたか、しっかりメモっておきましょう。
チェックデジットを計算します
はい、あなたの言いたいことは分かります。
チェックデジットって?この言葉にアレルギー反応がでましたよね。あなたは正常です。農業者にとって最大の難関が訪れます。でもご安心ください。実はとても簡単です。
JANコードは、
事業者コード9桁+商品アイテムコード3桁+チェックデジット1桁
の構成となっています。
チェックデジットとは、事業者コードと商品アイテムコードの数字を、足したり引いたり掛けたり割ったりして計算された数字です。数字の列が何らかの理由で書き換わっていたり、かすんでいたりしてないことを確認するための確認用の数字です。
でもこれもあまり気にする必要はありません。そういうものがあるという事実を鵜呑みにしちゃってください!
チェックデジットは、以下サイトで計算できます。通常、JANコード (標準タイプ13桁)の欄を使います。事業者コード+商品アイテムコードの12桁を入力して、「計算」ボタンを押します。
http://www.dsri.jp/jan/check_digit.html
計算できましたか?そんなに難しくないですよね。これで事業者コード+商品アイテムコード+チェックデジットの13ケタが出そろいました。
バーコードを作成し印刷します
大きく分けると以下の3つのやり方があります。
<印刷業者に外注する>
一番早いのは、印刷業者さんに発注することです。JANコードを伝えればOKです。あとは商品サイズに合わせてシールサイズの調整は必要です。ここも業者に相談すれば、やってくれます。
<加工業者にお願いする>
あなたが6次化事業者で、加工品製造を外注している場合、その業者さんが裏ラベルを貼ってくれるはずです。その裏ラベルに一緒にJANコードを入れ込んでもらえる場合があります。加工業者さんに確認してみましょう。
<自分で作成する>
インターネット上に無料のバーコード作成ソフトがあります(有料ソフトもあります。)。GoogleやYahooなどで、キーワード「JANコード 作成 ソフト」といれて検索してみましょう。いろいろ出てきます。それを使ってバーコードを作成し、自社プリンターで印刷するのが一番安上がりです。でもパソコン操作に慣れていない場合はあまりお勧めできません。
さて、いかがだったでしょうか?
農業をやっている人が、いきなりこんなことできない気持ちも分かります。でももし販路を広げていきたいのであれば、早い段階でJANコードの準備をしましょうね。
JANコードがないがために、失注するなんてことないように・・・
-田中良介
PS
JANコードの詳細は、一般財団法人 流通システム開発センターでご確認ください。
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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