ウェブ活用の残念なお知らせです。
数年前に、農業法人のオンラインショップを自分で構築しました。今の時代、農家もやはりインターネットでしょ!と思って、ブドウや6次化商品を販売してみました。素人でも結構かんたんに作れるサイトがあって、それだとクレジットカードにも対応しています。
これでバカバカ売るで~、と思って意気込んでいました。作ったショップを、Facebookで知り合いにお知らせすると、まずはその人たちが買ってくれました。よしよし。
それが一巡したら、パタリと誰も買わなくなりました。商品写真を変えてみたり、商品説明を工夫してみたり、キャッチコピーの趣向を凝らしてみたりしました。しかし全く反応がありません。
「これ、壊れているんと違うかな?」「なにか設定を間違っているのでは?」
と、いろいろ調べてみましたが、不具合らしきものは見つかりませんでした。日々のアクセス数も、ほとんどありませんでした。こ、これはいったい、、、
ネットという大海原に登場した自慢のオンラインショップは・・・
誰にも気づいてもらえませんでした。世の中には何億というサイトが存在します。そこにある日ぴょこんと登場した、しょぼーいオンラインショップには誰も見向きもしません。
これがウェブの残念な現実です。
決して農業者だけではないと思うのですが、ネットで一儲けしようと考えている人は多くいます。大手なら対応できるかもしれませんが、中小規模な農業者は、その幻想を捨てたほうが良いです。はっきり言って儲かりまへん!
本気で儲けるには何が必要か?
まずインターネットマーケティングの知識が必要になります。あなたのネットショップをどうやって世間に知ってもらい、購入につなげるかです。自社ホームページやSNSとの連携も必要になります。商品のネット上の価格設定もいろいろテストをしてみる必要があります。
今の時代、特にネットの技術革新はとても速いです。それに付いていかなければなりません。あなたにそれだけの知識と気合があればよいのですが、農業者がチョロっっと手をだして儲けられるほど甘い世界ではありません。その分野で格闘しているプロがいるからです。
次に必要なのはお金です。ネットで本気で売るには、ネット広告を出さなければなりません。GoogleやYahooでキーワード検索したときに、上部に出てくる広告欄がありますよね。あそこに表示させます。
これは非常に高額です。数年前なら安かったのですが、今はどんどん高騰しています。月に最低10万円は必要でしょう。理想は50~100万円くらいです。上限はありません。そしてこれも細かーい知識ノウハウがいります。外注業者に頼むことになると思いますが、その手数料も上乗せされます。
実は、僕も個人的に、ネット広告をやってみたことがあります。一瞬で10万円が飛びました。しかも実利にはつながりませんでした。アイタタタ・・・。(経験は積めましたが。)
大手はネット広告に何百万と出してきます。これに中小規模な農家が対抗できるはずもありません。
でも自社のオンラインショップをもったほうが良い理由
にもかかわらず、僕は色んな農業者に、オンライン(ネット)ショップを持つことを勧めています。なんでやねん!って突っ込みを入れてください。
オンラインショップで、いきなり高額商品は売れません。だからまずは低価格な商品を販売します。ますます利益が上がらへんやないかー!って再度突っ込みを入れてください(笑)
どういうことか説明しますね。
あくまでオンラインショップを、お客さんが入ってくる入り口として位置づけます。マルシェや展示商談会であなたの農園や商品をPRしたとしましょう。お客さんがあとから購入したくなったときの、注文手段です。ショップでクレジットカード対応していると、そこから注文をくれる人が結構います。ただし繰り返しになりますが、高額商品は売れません。最初は安いお試し商品からです。
僕がやっていたのは、取り込んだお客さんを、ひたすら顧客リストへ積み上げること。この顧客リストがあとから大きな意味を持ちます。
農家が利益を上げるのはやはり”オフ”ライン
オフラインとは、インターネットではない、アナログ手法のことです。電話、Fax、紙の注文用紙などです。
僕は、取り込んだお客さんへ紙ベースのダイレクトメールを出すことに力を入れていました。ここでは5000円~1万円程度の、農作物や加工品としては高価格帯の商品を売ります。
お客さんは、オンラインショップから一度購入してくれているので、うちの農園のことやサービスレベルをある程度知っています。その安心感や信頼関係があると、高額商品の購入につながりやすくなります。経験上、それはさほど難しいことではありません。
これはマーケティング本にも良く書かれていることなのですが、2ステップマーケティングという考え方です。
1ステップ目
最初はお客さんが買いやすい低価格商品を、簡単に購入できるメディア(ここではオンラインショップ)を通して販売。ここでお客さんに自社のことを知ってもらい、信頼関係を構築する。そして顧客リストへ登録。
2ステップ目
顧客リスト中の特定カテゴリーのお客さんへダイレクトメールを送り、プレミアムな高額商品を提案する。お中元、お歳暮、新商品の紹介など、さまざまなタイミングで。
◆◇
今日の内容は、ちょっと難しかったかもしれません。難しすぎたらゴメンナサイ!
でも小規模農家が儲けていく現実的な仕組みとして、どうしても必須の内容なので書きました。
これは幻想ではなく、現実的手法です。
-田中良介
PS 弊社セミナーやコンサルティングでは、ご要望に応じて、このあたりを詳しく説明しています。お問い合わせください。
PPS あなたのネット活用方法や悩みをぜひ教えてください。
↓
https://agri-marketing.jp/contact/
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
この投稿者の最近の記事
【田中良介】2018.07.17国際線での大騒動
【田中良介】2018.06.16これからの商品開発のヒント
【田中良介】2018.06.12サラダチキンが伝わらない!?
【田中良介】2018.05.31境界線が曖昧になってきている!