先週、新潟でセミナー講師をしてきました。
お題は「実践!農家のための販売力強化研修」でした。主に6次産業化に取り組み始めた生産者向けのセミナーでした。行政の方を含め、20人以上の方が参加してくれました。大半がお米農家さんでしたが、中にはイチゴを作っている方や食用花を作っている方もいました。
一時間強の講義のあと、白熱した質疑応答と個別助言がさらに1時間半つづきました。
みなさん、熱心にメモを取りながら聞いてください、改めて新潟熱いなーと思いました。僕は新潟でセミナーや講演をするのが、とても好きです。
今回のセミナーでは、時間をかけてターゲット顧客設定についてお話ししました。FCPシート(※)を見ると、お客さん像がぼんやりしてる生産者さんが多いからです。なかには「どなたでも美味しく召し上がれます。」と書いている人もいます。まあ僕も昔はこんな風に書いてました。
※FCPシートとは、バイヤーさんと商談するときに使う、あなたの農園/商品を紹介するための様式です。国が推奨するフォーマットです。これに従って書けば、バイヤーさんが欲しい情報を網羅することができます。
おそらくあなたも一度は、「ターゲット顧客を絞り込みましょう」ということを聞いたことがあると思います。行政主催のセミナーでも何度も言われます。FCPシート作成講座に出ても必ず強調されます。
しかし、皆さん頭では分かっているのですが、なぜかそれができないんです。なぜできないのでしょうか?
僕は生産者としてそのプロセスを通ってきたので分かります。僕がかつて考えていたことを公開しましょう。
ターゲット顧客を絞り込むと、
ほかの顧客を逃すような気がする。
チャンスを自ら手放す気がする。
お金のなる木を、
自ら放棄する不安にかられる。
その結果、ターゲット顧客を絞り込む
メリットが見えなくなる。
そして、忙しいだのいろいろ理由をつけて、
ターゲット顧客を絞り込む作業を
後回しにする。
あなたも同じ罠に陥っていませんか?
その罠から逃れるためには、ターゲット顧客を絞らなかったときに起こるデメリットに目を向けることが大切です。人はメリットよりも、痛み(デメリット)に強く反応するからです。
僕のセミナーではこの痛みを強調して、参加者のパラダイムシフトを起こすようにしています。
ターゲット顧客を絞り込まないと、
社内はちぐはぐになり、スタッフは混乱し、
お客さんからの信頼を失っていきます。
知らず知らずのうちに、
むしばまれていきます。
気が付いた時には、あなたは6次産業化に失望し、
撤退を余儀なくされます。
農産物を自分で販路開拓することを
あきらめることにもなるでしょう。
農協へだけ卸す日々へと逆戻りになります。
「おいおい、そんな怖いことをいうな。大げさじゃないか?」と思われるかもしれません。でも農業や6次化でなんとかしたいと心から思っている人は、僕の説明に耳を傾けてください。僕が痛みから学んだことをお教えします。
ターゲット顧客を設定しないといけない
”3つの理由”について、次回お話しします。
-田中良介
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
この投稿者の最近の記事
【田中良介】2018.07.17国際線での大騒動
【田中良介】2018.06.16これからの商品開発のヒント
【田中良介】2018.06.12サラダチキンが伝わらない!?
【田中良介】2018.05.31境界線が曖昧になってきている!