ターゲット顧客がぼやけていると起こる3つの危機

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さて前回に続き、ターゲット顧客設定についてお話しします。

もしあなたがターゲット顧客を絞り込まないと、今から述べる恐ろしーい事態に直面することになります。それはゆでガエルのように、知らず知らずのうちに進行します。なにかがおかしいと気づいた時には、手遅れになっているかもしれません。

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じわじわと蝕まれていた日々のこと

僕の実体験から始めましょう。

数年前、僕が前職で働き始めた当時、その農業法人で設定していたターゲットは「富裕層」でした。人口を、所得ピラミッドで表すと、その頂点の数%に位置する人たちです。これらの人はもちろん金払いが良いはずです。贈答用ブドウを売り込む先としては最適であると考えたわけです。

富裕層に売り込むぞ!と気合いを入れて販路開拓や商品開発に取り組みました。しかし、社内議論の何かが、かみ合わないのです。スタッフ全員が、ばらばらの方向を見ているように感じました。展示商談会にも多く出ていたのですが、販路開拓にしても、労力のわりに成果がありませんでした。

くわえて、お客さんからの理不尽なクレームも頻発しました。そのクレーム処理と、代替品の発送に時間とコストがとられていました。

僕は疲れ果てていました。ターゲット顧客を富裕層に設定して活動しているのに・・・。これじゃあ、ターゲット顧客を絞っても意味がない・・・、とすら思っていました。

しかし後から分かったのですが、「富裕層」というだけでは、ターゲットとしてあまりにも漠然としていたのです。これでは絞り込んでいないのと同じだったのです。

ターゲットがぼやけていたために、僕が直面した3つの危機

1.社内リソースが無駄に浪費されてしまった

リソースとは、活動資金、人材、時間、場所などを指します。会社が持っていて、使うことのできる人・物・金です。

農業者はただでさえ時間がありません。農作業には膨大な時間がかかります。6次産業化に取り組んでいたら、加工品製造にも手間がかかります。品質管理も神経を使います。

人材が足りている農業法人など、僕が知る限り存在しません。常に人不足です。みんなギリギリの状態で働いています。

ターゲット顧客が絞り込めていないと、この貴重なリソースが分散されてしまいます。商品開発一つとっても、それが誰のための商品なのか曖昧だと、無駄な作業が発生してしまうのです。販売戦略についても同じです。あっちのお客さんにも売り、こっちのお客さんにも売り、誰に対してもいい顔するのは、これまた労力がかかりすぎます。

2.社員(部下)が混乱した

2つ目の危機は、社員が混乱するということが挙げられます。よく社員が自分で考えて動いてくれないと愚痴る経営者がいます。その大きな原因として、ターゲット顧客が絞られていないことが挙げられます。(実際セミナーでも、社員教育について相談を受けることも多いです。)

社員はどの方向に動けばよいか分かっていないのです。会社としても、方向性がぼんやりしているのに、社員が動けるはずがありません。

新商品を考えろ!と指示をしても何も出てこないでしょう。なぜなら、誰に対して商品開発するのか、スタッフごとに頭の中のイメージが違うからです。議論がかみ合いません。

販売戦略を考えろ!と強く言っても、ちぐはぐなアイデアしか出てこないでしょう。誰に対しての売るのか、みんな考えていることがそれぞれだからです。

社員も、自分では上手く説明のできないストレスを感じて、反発したり、やる気を失います。悪循環に入るわけです。

3.お客さんからの信頼を失った

八方美人の男(女)って魅力的ですか?浮気している人を信用できますか?
そんなはずないですよね。

商売でもこれは同じです。お客さんは、自分のことだけを見ててほしいのです。生産者であるあなたの言動が八方美人になっていると、お客さんは潜在的に嫌悪感を覚えます。

見つからなければいいのでは、という考えは甘いですよ。今の時代、隠し通せることはありません。パンフレット、ブログ、Facebookなどで、お客さんはあなたの言動を見ています。いやでも目に入るわけです。

あなたがこっちのお客さんにおべっかを使い、ある時はあっちのお客さんに媚びへつらって都合のいいことを言っていたら、それは一貫性に欠けているように映ります。芯がない、ポリシーがない農家に見えます。そして徐々に信頼を失っていくのです。

八方美人をすると最初だけは売り上げが伸びるかもしれません。しかし、なぜか理不尽クレームが増えていきます。そして次の段階ではお客さんが徐々に離れていきます。気が付けば売り上げが激減してる訳です。

どのレベルまで絞り込むべきか

ではどのレベルまでお客さんを絞り込むべきでしょうか?

たった一人にまで絞り込みましょう。

漠然とした要素をすべて排除します。「富裕層」というカテゴリーを例にとってみても、それはどんな人でしょうか?

性別は?
住んでいる市町村は?
年齢は?
家族構成は?
趣味は?
読んでいる雑誌は?
どんな運動をしているか?
悩みは?
将来の夢は?

これらをできるだけ詳細に設定していきます。たった一人にまで絞ることで、あなたの軸が固定されます。実際、僕はこれをやっていました。

他のお客さんを見捨てることになるのでは?という質問を受けることが多いのですが、それに対してはこう考えましょう。

「その一人のニーズを満足させることができなければ、ましてや他の人を満足させることはできない」と。

現実世界では、ターゲット顧客と同じ趣味趣向をもった人が存在します。結果として、そういうお客さんがあなたや商品に惹かれて、向こうから近づいてきます。

どうやって設定するのか?

あなたの既存のお客さんを見渡してみましょう。だれが理想的なお客さんでしょうか?コミュニケーションがとりやすく、利益率にも貢献してくれる人はだれですか?理不尽なクレームは言わず、意見をくれるときは、建設的に言ってくれる人は誰ですか?

理想のお客さんを一人挙げましょう。

できればその人にインタビューをします。その人がどんな人か電話して聞いてしまいます。分からないところに関しては、仮説を考えます。たとえば、このお客さんは雑誌「婦人画報」を愛読しているとしてしまうわけです。これはあくまで仮説なので、どんどん見直していきます。

理想のお客さんを挙げるのが難しい場合は、嫌なお客さんを挙げて、なぜ嫌なのかを考えます。そしてそれを反対にして、理想客を見つけていきます。

◇◆

ターゲット顧客設定がいかに奥が深いかご理解いただけましたか?
これでもターゲットを設定したくない方は、ぜひ僕が味わったのと同じ痛みをご体験ください。そのほうが理解が早いかもしれません・・・

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年には新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞。
2016年より中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナーとしても活動中。

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