農業と芸術のコラボレーション。
軽井沢で4年にわたり僕が携わってきた企画があります。それは朗読会と物産を絡めたイベントです。
元NHKアナウンサーで現在は軽井沢図書館館長をされている青木裕子さん。図書文化の振興のため精力的に活動されている方です。青木裕子さん主催の朗読イベントで、農産物の販売をする取り組みを、ここ数年進めてきました。
一つの例がブドウの朗読会。
会では、ブドウにちなんだ小説やエッセイや絵本などを朗読します。青木裕子さんも朗読しますし、参加者が朗読することもあります。楽器の演奏もブドウにちなんだ楽曲となります。参加者がひたすらブドウに浸るイベントです。
売り込まなくとも、ひとりでに売れていくブドウ
参加者がブドウに浸りきったときに、生ブドウやブドウ加工品を販売します。
すると、あら不思議!一切売り込みをかけていないのに、ブドウが飛ぶように売れます。凄い勢いで売り切れます。
参加者は、ブドウが登場する本を朗読することにより、無性にブドウを食べたくなってしまうのです。そのタイミングを見計らってブドウを目の前に出すと、参加者はもう買いたくて買いたくて仕方がなくなります。
イベントが盛り上がっている証拠でもあります。またの名を、サブリミナル効果・・・。おっと、これは表現が妥当ではないですね(笑)
マーケティングを体感
共同執筆者の長谷川正之さんの記事に乗っかって、ピーター・ドラッカーのネタを一つ。ドラッカーはマーケティングについて、次のように語っています。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。
お客さんに頑張って営業をかけなくても、自然に「売れてしまう状態」をつくるのがマーケティングということです。その商品を目の当たりにした人が、「ああ、これが欲しかった」と思ってもらう状態を作りだします。
そのためには、お客さんが求めているものを知り、そして市場に対してそれを喚起していく必要があります。
この朗読会はたった3時間ほどのイベントですが、その要素を体感することができます。農業者がマーケティングを学ぶことができる場です。
僕は参加者に如何に楽しんでもらうかを追及してきました。販売のことをほとんど考えていませんでした。考えていたのは、参加者に価値を提供することのみ。結果として、ブドウが飛ぶように売れました。
僕自身もこのイベントを通して、農業マーケティングとはこういうことなのか!と体感することができました。農業者にとって物販以上に価値のあるイベントです。
今年はトマトの会を開催します
今年は趣向をかえて、トマトの会を開催します。
朗読作品は、芥川賞作家の高樹のぶ子さんの書き下ろしです。今回の朗読会のために書き下ろされた本邦初公開作品!明るい大人のファンタジーを是非お楽しみ下さい。
またトマトをお買い得な値段で販売します。ご協力くださるのは軽井沢花井農園さんです。農薬を使わず栽培した極上トマトで、僕もここの農園の大ファン。イベントを盛り上げるために、農繁期の最中、トマトや野菜を販売してくださいます。
ぜひ農業者のあなたに参加してほしいイベントです。そして農業マーケティングを体感してください。朗読を通して、あなたはなぜかトマトを買いたくなーる、買いたくなーる、買いたくなーる・・・。
詳細は以下をご確認ください。 -田中良介
第3回 高樹のぶ子作品書き下ろし朗読演奏会「ものものがたり」
<開催概要>
WHEN: 2016年8月27日 @ 3:00 PM – 5:30 PM
WHERE: 軽井沢朗読館
COST: 全席自由 2,000円(当日券 2,500円)
<出演>
トーク:高樹のぶ子
朗読:青木裕子
演奏:飯村佳之、他
<チケット受付先>
軽井沢朗読館ストア http://roudokukan-store.jimdo.com
または、軽井沢朗読館事務局 070-4034-5855
にて絶賛発売中です。
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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