あなたはお客さんとコミュニケーションを取っていますか?
農家の方は、苦手な人が多いと思います。しかしJAに卸すだけでなく、直接取引をしていくのであれば、コミュニケーションは必須です。今日はそのコツをお伝えしたいと思います。主にスーパーや百貨店のバイヤーさんとの会話を想定していますが、それ以外のお客さんでも応用が利きます。
話すが2割、聞くが8割
商品のよいところを何とか伝えたいあなたの気持ちはよくわかります。話すぎてしまうんですよね。あなたの商品とバイヤーさんのニーズが完全に一致していれば、それでも問題ないです。
しかしニーズが完全に一致していることは非常に稀です。バイヤーさんの商品に対するニーズを分解してみましょう。
・味
・香り
・見た目
・内容量
・パッケージデザイン
・ロット数
・納品タイミング
・支払い条件
・裏ラベル記載内容
・賞味期限
・値段
これ以外にもいろいろあるはずです。これらについてバイヤーさんがどのように考えているか、どうやったら分かるのでしょうか?
それは聞くしかないんです。一つ一つ質問していくことが大切です。
質問して相手のニーズが分かれば、そのニーズとあなたの商品の差がどこにあるか分かります。
ニーズを満たせていないところに気が付いたら
気が付いたところを、あなたは企業努力で改善しなければなりません。もちろん100%の改善は不可能です。しかし、バイヤーさんに対してその姿勢を見せることが、長期的な信頼につながります。お互いコミュニケーションを取りながら、改善点や妥協点を見つけていきます。
小規模農家で6次産業化に取り組んでいる場合、商品価格は高めのケースが多いです。また僕も高価格帯での取引を生産者さんに勧めています。
高価格帯の取引について、誤解している生産者さんがいます。単に高いというのは間違いです。僕が言っている高価格とは適正価格のことです。商品価値以上の値段をつけてはいけません。通常、生産者がつける値段は安すぎるので、本来の値段まで上げましょうという意味です。本来の値段がどこにあるのかは、何回もテストして把握しなければなりません。
では商品価値とは何できまるのでしょうか?それは上で挙げた味、香り、パッケージ・・・・など様々な要素で決まります。
あなたの顧客対応やコミュケーションの取り方そのものにも価値があります。スーパーのニーズに応えて協力する姿勢にも価値があります。価値は、さまざまな角度から作り上げることができるのです。
継続的なコミュニケーションを取らないと・・・
コミュニケーションは、一度やってお終いではありません。市場の変化とともに、バイヤーさんの考えやニーズは変わっていきます。一年前にはなかった競合商品が現れていたら、バイヤーさんの気持ちがそちらに移りかけているかもしれません。
だからあなたが聞く姿勢を疎かにしてしまうと、気が付いた時には手遅れになっていることもあります。バイヤーさんが本当にことをすぐに言ってくれるとは限らないので、根気強く会話を続けることが大切です。
-田中良介
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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