1次(栽培)と2次(加工)と3次(販売)の連携と課題

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先日静岡県信連で講演をしてきましたが、講演は2本立てで、僕の前に鳥巣研二さんがお話しされました。

鳥巣研二さんのことをご存知のかたも多いと思います。農産物加工を全国で指導して回っている、とても有名なコンサルタントの方です。

僕も鳥巣先生のファンの一人。自分の講演内容どうこうよりも、鳥巣先生のお話しに聞き入ってしまいました。非常に奥の深い内容でした。

今日は鳥巣先生の講演を引用しながら、6次化を経験した僕の考えを付け加えていきます。

6次化は上手くいけばいくほど、上手くいかない

農家が1次(栽培)、2次(加工)、3次(販売)の全てを一貫しておこなう6次産業化は、上手くいきません。農家は栽培のプロですが、加工や販売のプロではないからです。農家の加工食品技術は加工食品メーカーと比べてノウハウがなく、農業の片手間です。また販売についても同じです。

もし売れ始めたら、売れ始めたで問題が生じます。加工業が忙しくなり、そこに人を充てなければなりません。そうすると本業である栽培が疎かになってしまいます。ここから悪循環が始まるわけです。1次農産品の品質が落ちると、あなたのファンが離れ始めます。本末転倒ですよね。

また販路が広がれば広がるほど、クレームが発生する可能性も高くなります。もし発生したときに、その対応であったり、原因究明に多くの時間と労力を割くことになります。僕も何回かその修羅場(回収騒ぎ)を経験しましたが、とてもとても疲弊しました。今となっては良い経験ですが。

地域6次産業化による問題解決

農家が全てをやるのが完結型6次産業化。それに対して鳥巣先生が提唱しているのが、地域での農商工連携です。1次と、2次と、3次のプロが連携する取り組みです。鳥巣先生はこれを地域6次産業化と呼んでいます。

現実的には、多かれ少なかれ農家はこの方式を取っています。ぼくが勤めていたブドウ園でも、ジュース、ジャム、ソースなどは地域の加工メーカーさんにお願いしていました。もちろんレシピや瓶形状などはこちらで仕様を考えて、委託することになります。またワインについては、地域のワイナリーさんと組んで開発製造をしていました。

加工所を自前で準備するのは多大なコストがかかりますし、また保健所から製造許可を取得する必要があります。だから、ほとんどの6次化事業者はこの方式を取っています。

6次産業化とは実際このようなものです。農水省が言っている6次産業化という言葉が、”農家完結型”のイメージで一人歩きしてしまっていると思います。

地域で1次、2次、3次をうまく回す(主導する)人材が必要

鳥巣先生の仰っているのは、そこからさらに一歩踏み込んで、農業、加工業、商業のプロが、地域で密接に連携すべきだということでした。商業とは、食品販売業、飲食、宿泊などを指します。

国でもこの取り組みを進めており、それなりの補助金が用意されています。

企業文化や考え方の異なる3者の連携は難しいことでもあります。利益をどうやって分配するのか、ここも頭を悩ませることになると、鳥巣先生は指摘されていました。

だから、この連携を回す(主導する)ことのできる人材の育成が急務です。鳥巣先生によると、これを農協がやるのが一番良いとのことでした。ただし課題はやはり人材ということになります。

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農家・農業法人がとるべき現実論

ここからは完全に僕の意見です。1次と2次と3次のプロが分業かつ連携する考え方には大大大賛成です。この前提があるうえで、小規模農家のあなたは今どこまで手を出せばよいのでしょうか?

2次については、委託加工にしましょう。ただし加工品メーカーとのコミュニケーションを絶やさないように。彼らの加工方法や品質管理などを、チェックするようにしてください。あなたの考えたレシピや、期待していた品質レベルと異なる場合は、すぐに指摘をしましょう。委託はするけれど、介入する姿勢を忘れないように。

そして、できる限り3次(販売)には足を突っ込んでおきましょう。飲食店やホテルや小売店と直接取引をしてみましょう。直売所ではお客さんの動向を観察しましょう。お客さんの声を聴きながら、販売するとはどういうことなのか、経験として積むことをお勧めします。

なぜこの現実論が必要なのか?

1次、2次、3次の農商工連携のなかで、あなた自身にメリットのあるうちは良いです。しかしそのメリットが、一部の業者に偏りだしたり、あなたがその連携からはじき出されてしまうリスクがあります。マーケットはどんどん変化しており、何が起こるか分からないからです。

僕自身も信頼のもとに連携していたと思っていたパートナーに、裏切られ悔しい思いをしたことが何度かあります。ブドウ農園の当時の社長がそのような状況で辛い思いをされている様子もよく見てきました。

だから、あなた自身も最低限の加工と販売のノウハウがあって、そのうえで連携を模索しなければなりません。そうしないと弱小農家は食い物にされてしまいます。

-田中良介

追伸.
ちょっとPR。私自身の6次化事業者としての経験を踏まえ、弊社でも1次、2次、3次の連携を主導することができます。きめ細やかに対応いたします。ご相談ください。

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年には新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞。
2016年より中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナーとしても活動中。

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