農業者用のFCPシート(バイヤーとコミュニケーションを取るための商談シート)をどうやって作成すればよいのでしょうか?
FCPシートで重要な項目に、「商品特徴」欄と「利用シーン」欄があります。利用シーンとは、レシピや食べ方提案のことです。商談シート作成セミナーにいくと、これらの書き方を重点的に教えてもらえます。
とても基本的な項目であると同時に、作成には頭を悩ませることになります。
どんな特徴を書けばバイヤーさんに響くのだろうか?
魅力的な利用シーンって?
シェフがうなるレシピはないだろうか?
真実をお伝えします。僕の経験上、考えるだけ無駄です。
自分で考えない手法
僕が過去に作ったFCPシートは結構出来が良いらしく、県主催セミナーで見本として使われることが頻繁にありました。僕がどうやってFCPシートを作成したのか、その手順をあなたに公開いたします。超実践的なので、あなたもこれを取り入れることができます。
僕が6次化商品を売り始めた当初、商品の特徴をまったく把握しておらず、利用シーンも皆目見当つきませんでした。でも売り歩いていました。最初は飲食店を何十件と回りました。シェフに商品を紹介してまわりました。販売商品は干しブドウでした。
当時の僕の営業スキルからして、ほとんど空振りに終わりました。しかし、数を打った結果、運よく買ってくれるシェフが2人現れました。たまたま、相手のニーズとうちの商品が合致したのです。
ここぞとばかりに僕はシェフに質問をしました。
「なぜこの干しブドウを買おうと思ったのですか?」
「なぜ他の干しブドウではなく、この干しブドウなのですか?」
「どうやってこれを御社メニューに取り込むのですか?」
「他の人にこの干しブドウを勧めるとなると、なんと言って勧めますか?」
シェフの答えを僕は必至にメモりました・・・・。
お客さんからの発想を取り込む
あるフレンチシェフから「テリーヌ(※)にこの国産の干しブドウを入れてみるつもりだよ。」と言われました。(※パテに野菜などを合わせ、型に入れて固めたものがフレンチ料理。)
30分後、、、次の店舗へ営業に行ったとき、僕はシェフにこう提案しました。
「この干しブドウをテリーヌに入れれば、特徴あるテリーヌになりますよ。実際、この使い方をしているシェフが都内にいらっしゃいます。」
あたかも僕がフレンチに精通しているかのように。
またイタリアンのシェフから、「ワカサギに干しブドウ添えて、カルピオーネにしたらおいしそうだね」というアイデアをもらいました。
そのあと、異なるイタリアンに営業に行ったときは、僕は「カルピオーネ」という言葉をすでに使っていました。
もうお分かりですか?
お客さんからいただいたアイデアを、すべて自分のものにしていくのです。僕の営業トークの大半は、シェフの受け売りでした。
それらをFCPシートへ落とし込む
シェフからもらった現場でのアイデアを、そのままFCPシートへ落とし込みました。自分でいくら考えても、トップシェフの発想レベルに到達することはできません。自分で考えたアイデアなんて、たかが知れています。
しかしお客さんから出てきたアイデアは、実務的な利用シーンであり、思いもよらない商品特徴を言い当てている場合があります。これこそが、ほかのお客さん(バイヤーさん)にも響く言葉なのです。
あなたも自分ひとりで考えるのではなく、客先を回ってお客さんからアイデアをもらってみましょう。
FCPシートが見違えるように魅力的になります。
しかも短期間に!
-田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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