公開!農家/農業法人のビジネスモデル①

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前回につづいて、ビジネスモデルのお話しです。
ビジネスモデルとは、航海図のようなものだと説明しました。農家の航海図を公開します(オッと)。売り上げを着実に伸ばしていくための仕組みです。

お客さんとあなたの農園の関係から考えて、大きく以下の4ステージがあります。普段の何気ない活動が、いったいどのステージに位置しているのか意識しながら読んでみてください。当てはめていってみると、日常作業の意味が分かると同時に、どこが弱いかも見えてきます。

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それでは、各ステージについて見ていきましょう。

1.農園のことを周知する

世の中の99%の人はあなたの農園のことを知りません。もちろん商品のことも知りません。農園主であるあなたのことも知りません。見たことも聞いたこともありません。だから商品を買うこともありません。よって、まずは周知活動から始めることになります。

この段階で農業者は何をすべきでしょうか?

・展示商談会に出展する。
・マルシェに出店する。
・イベント出店する。
・知り合いにお客さんを紹介してもらう。
・ホームページを作る。
・ブログを書く。
・Youtubeに動画を投稿してみる。
・農園のFacebookを始める。
・オンラインショップを整える。
・Faxを送ってみる。
・無料でプレゼントキャンペーンをやる。
・新聞や雑誌に広告を出す。
などなど。

ちなみにこれら全てをやる必要はありません。判断基準は、あなたのターゲット客がどこにいるかです。それはあるイベント会場かもしれません。特定地域かもしれません。インターネット上のどこかかもしれません。そこにあなたも出没するようにしましょう。

ここで大切なのは、宣伝だけして満足しないこと。いくら周知活動をしても、相手があなたの農園のことを意識するのは一瞬です。その一瞬が訪れたら、腕をギュッとつかんで離さないようにします。すなわち、お客さんの連絡先を必ず獲得しなければならないということです。

たとえば展示商談会に出れば、バイヤーさんと名刺交換をします。これはお客さんの連絡先です。また自社オンラインショップから購入してくれた人は、もちろん連絡先(発送先)を残していってくれます。

ではマルシェやイベント出店ではどうすればよいのでしょうか?

やり方は色々あります。商品サンプルをプレゼントする代わりに、お客さんの連絡先を用紙に記入してもらいます。もしくは注文用紙のついたパンフレットを配ることでもよいでしょう。パンフレットにデカデカとオンラインショップへのアドレスを記載しておくことも効果的です。何らかの形で、お客さん情報を取得するための仕掛けを準備しておきましょう。

お客さん情報を得たら、すべて顧客リストへ積み上げておきます。(個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。)

そういう点では、単純にホームページがあるだけでは意味がありません。ホームページは、農園の基本情報を提供するための補足ツールです。

この段階では利益がでません。基本的にすべて出費です。このステージの活動を単なるコストと捉えるか、投資と捉えるかで、長期的な利益が大きく変わってきます。典型的な例が、展示商談会への出展ですね。

2.商品を購入してもらう

上記でお客さん情報をゲットしたら、次は販売していきます。とは言っても、あまり焦ってはいけません。相手は農園の存在を知っていますが、まだあなたのことをよく知りません。信頼できるか分からない店舗から商品を買うことはありません。

だから、まずやらないといけないのが信頼関係の構築です。展示商談会に出た後、バイヤーさんにアフターフォローしますよね。それはコミュニケーションを通して、信頼関係を構築しているのです。個人のお客さんに対しても同じです。もっと農園のことを知ってもらう活動をします。たとえば、

・メールマガジンであなたの人柄が分かる文章を送る。
・農園通信をお便りで送る。
・農園イベントへ招待する。
・お客様の声(推薦文)を見せる。
・お役立ち情報を提供する。

信頼関係ができあがると、購入してもらいやすくなります。僕は農業法人で働いていたとき、このステージにとてもとても力を入れていました。今はクライアントさんと一緒にバイヤーさん対応をしていますが、やはり信頼関係醸成に注力しています。

信頼関係が醸成されたのを見計らって、僕の場合はお客さんにダイレクトメールを出していました。地方農家か送られてくるダイレクトメールはかなりインパクトがあるようで、多くの方が購入してくれます。また、数はさほど多くありませんが、オンラインショップから入ってくる顧客もいます。注文用紙、電話受付、ネットショップなど、注文窓口を複数用意しておくとよいでしょう。

バイヤーさんの場合は、電話や直接会うなどしてコミュニケーションを取る必要があります。そしてしっかり相手の要望を聞いてあげます。個人客の場合とコンタクト方法が多少違いますが、信頼関係醸成→成約の流れは全く同じです。

ここで2つ注意点があります。

1点目は不良顧客を引き寄せないようにしましょう。不良顧客とは、理不尽なクレーマーや、要求のわりに正当な対価を払おうとしないバイヤーさん等です。こういう人たちは長期に渡ってあなたのエネルギーを吸い取ります。

2点目の注意点は、一回購入してもらっただけでは、あまり利益につながらないことを理解しておきましょう。お客さんもまだ様子見ですから、高い商品や多くのロットを注文してくれません。あなたはまだ我慢をしなければならないのです。

◇◆

次回に続く・・・

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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