連携の落とし穴

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連携

先日、長野県主催のある講演会を聞きに行きました。地方創生を、各組織がネットワークを組み、解決していく手法のお話でした。

「産官学」、「農商工連携」という言葉をあなたも聞いたことがあると思います。そこに、金融機関やメディアを絡めていこうという内容でした。(金融機関との関わりについては、長谷川正之さんのブログがとても参考になります。これ、必読の記事です!)

メディアについては、今の時代、多様化しています。いわゆるTVやラジオというより、発信力のある人と組むと考えがしっくりきます。インターネットを使えば、個人がメディアを持てる時代ですからね。

このように様々な組織がネットワークを組み、イノベーションを起こしていこう!ということでした。なるほどなるほど。

講演会で、僕は一番前に座って聞いていました。そして色々質問をさせていただきました。講演会が終わったときに、職員から「講師の先生にあんなことまで聞くな」となぜか怒られてしまいました(>_<)

聞いてはいけなかったその質問とは・・・

「連携で失敗したことがあれば、事例とその原因を教えてください。」

あなたが単独企業として事業を行っている場合、すべてあなたの判断でスピーディに進めることができます。実力があるのであれば、どんどん進めればよいのです。6次産業化についても単独で構いません。そのほうが、気兼ねなくストレスもなく進めることができます。

しかし農商工連携など、他の企業と組んだとたんに、スピードが遅くなります。関係者が増えれば増えるほど、たった一つの決定が難しくなります。相手の意見を聞き、十分に尊重しなければなりません。主導権争いが始まることもあります。

また、みんな責任を取りたくありません。リスクを避け始めます。行動はしないけれど、反対意見ばかり言う人にイライラさせられます。

判断の遅れは、マーケットでは致命的です。今この瞬間に投入すればヒット間違いなしの6次化商品でも、1年遅れると、もう競合だらけでつけ入る隙がなくなります。連携をするとはそういうことなのです。

昨年、仕事でシンガポールに何度か行きました。ご存知のようにこの国は小さいながら急速に発展しています。所得水準は日本より高いです。しかし知ってましたか?実は独裁国家なのです。民主国家ではありません。能力の高い独裁者がスピーディにものごとを判断しているのです。それがシンガポール発展の原動力になっています。

連携が逆効果になる場合も・・・

連携したがために、事業が停滞することがあります。
連携したがために、チャンスを逃すことがあります。
連携したがために、意見の対立で嫌な思いをすることがあります。
あなた自身が連携から仲間外れになることもあります。
いっとき盛り上がった連携が、時間とともに足かせになることすらあります。
しかも補助金を絡めていたら、撤退ができません。

これが現実です。あなたはそれでも連携をしますか?

次回は、農業者視点で連携をうまく進める方法について、書きたいと思います

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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