ドラッカーの「目の前の一人を顧客にする」話 ①

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長野県は松茸生産量全国1位で、なかでも上田市は松茸の産地です。この間、私が市内のI直売所で松茸を買った話しは、ドラッカーの言う「一人の顧客を創造する」例ではないかと思い、紹介します。

まず、私がその直売所を訪れた目的は、この直売所の運営についてアドバイスするためです。組合長・副組合長・販売責任者の3名と面談しました。
私が最初にお聞きしたのは、多分皆さんと同じだと思います・・・。

この直売所の強みは何でしょうか

この問いに答えてくれたのは副組合長さんです。端的な回答でした。

■副組合長「3つあります。①レジの対応が褒められること ②組織としてすぐに行動できるスピードをもっていること ③品物を切らさないこと です。」

■私:「そうですか、レジは経験者がやっているのですか? 組織的決定のプロセスは? この地で調達できないものはどこから?」
すぐ答えが返ってきました。

■副組合長「レジは若い方が交代でやっていますが、いろいろお客様とやり取りしています。そんな姿勢が支持してもらえていると思います。お客様はこの近くのリピーターが多いので、馴染みなんですよ」

「すぐ色々行動できるのは、隣にいる組合長さんから私たち2人が任せてもらっているから。今の3人の信頼関係があるからです」「この地域でできない作物や時期をカバーするため、近隣の3カ所の農家から出してもらっています。私が車で集荷しに行き、1日180km走る時もあります。」

自信に満ちた言葉で、基本的な経営姿勢は、顧客を向いているもので、納得できました。そう、マーケティング志向です。あとは、細かなことで、陳列やPOP広告でのアドバイスをしました。

3人から、固定客はいるものの、集客数は減らしたくないので、効果的なアドバイスをしてほしいと言われました。その場での質問にどう答えるか、「スピードが感動を呼ぶ」をモットーにしている私はその場で少し考え、ある提案をしました。

3人は初めて聞いた提案に対し、すぐできることなので早速検討してみるとのこと」。アドバイザーという私が評価されるかどうか、うまく成果が出たらブログで紹介します。現場でのやり取りが一番能力を試されるところです。

松茸を購入

帰り際に、買い物をしました(大切なことです、現金での貢献も・・笑)。一番の目当ては・・・そう、この時期この地域の名産「松茸」です。2本1パックで3,000円。

松茸は高額商品で、この値段で買えればOKと思い、買い物カゴに入れてレジに並んでいたところ、さっきまで話していた副組合長さんが来て、私のカゴに入っている松茸を手に取り、ちょっと待ててというなり、違う松茸を持ってきました。

こちらの方が「新鮮」というのです。

アドバイスをいただいたのに、この商品をこの値段では申し訳ないというのです。(その近くにお客様はいませんでした・・・念のため)。松茸はそうはいっても高額商品です。目利きの技を持たない私は、「すいません」と心からお礼を言い買って帰りました。

職場に戻り、妻に来てもらい渡して、今日の夜は松茸ご飯をお願いと言い、妻も珍しい私の「妻孝行」に笑顔を返して帰りました。明るい気分で午後の仕事が始まりましたが、I直売所から帰って2時間くらいたった後、午前中に接した副組合長から電話があったのです。

何かと思い電話に出てみると、思わぬ展開が待っていたのです。

その話は・・・次回に続く。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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