前回の続きですが、午前中にアドバイスで伺ったI直売所から松茸を買って帰り、妻に渡して夕食は松茸ご飯を期待し、午後仕事を始めた私にかかってきた電話の話しからです。
電話をかけてきた相手は、直売所で松茸を目利きしてもらった副組合長さんでした。どんな話なのか、私の提案が気に入らないのか・・・など考えてみましたが、とりあえず電話に出ました。そこでの内容は、思わぬものでした。
電話での思わぬ話しとは・・・
■副組合長「実は、松茸を買ってもらった後、急に違う4,000円の松茸が入ったのです。その品質はとても良いので、買ってもらった3,000円の松茸を、プラス1,000円出してもらって交換させて下さい」との申し出でした。
あの品質の松茸を3,000円で売ってしまったこと、よりによって一応私という市の農産物マーケティングアドバイザーにです。私の満足度は、けっして低くなく、とっくに妻に渡し、松茸ご飯のニオイまで想像できていたたのに。
■私「実は、買った松茸は妻にもう渡してしまって手元に無いのです(ここで自分でも思わぬ言葉が出てしまう)。しかしせっかくなので、改めてもう一つ買います」。私と同じ立場なら、多くの方が同じ返答をしたと思います(たぶん・・・)。副組合長さんの真剣な思いに心を打たれたからです。
早速、職場に持ってこられその実物を見て、やはり午前中に買った3,000円の松茸とは違いました。これぞ松茸というもので、大満足でした(前回のブログにアップした松茸)。この日、計7,000円を払ったのですが、たぶん、こんなハプニングでもない限り支出できない貧乏性の私と妻には、慶事となりました。
ここで、敢えて、副組合長さんの取った行動について考えてみます。その切り口は、このブログでたびたび紹介しているドラッカーの
「There is only one valid definition of business purpose: to create a customer 」
「企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客を創造することである。」
それも、目の前の最も価値をわかって欲しい一人を顧客にすること(create a customer)ができるかであり、それくらいの商品・サービスでないと大勢の人をコアな顧客にすることはできないという意味と思います。
副組合長さんからしたら、直売所で松茸を買ってくれた私を、目の前の、最も価値を分かって欲しい人として「顧客(ファン)」にすることができるかを、自らに問い行動されたのではと、推測します。
市のマーケティングアドバイザーの私を満足させ顧客にすること無しに、大勢の人をコアな顧客にすることはできないと考えたのではと思います(少し思い上がりかも知れませんが)。それは副組合長さんの次のアクションから、私の勝手な解釈ではなかったことがわかります。
その行動とは・・・
私が買った後、4,000円の新鮮な松茸を他に5個(たぶんその日の在庫全て)持って来ていて、私の職場仲間に勧めたのです。オ~っという声が上がり、全員飛ぶように買いました。今後、コアな顧客として期待できるでしょう(原則は、職場での購買はできません、念のため)。
このドラッカーのいう「create a customer」をスピーディーに実行した副組合長さんとはどんな方なのか・・・
アラセブの素敵な肝っ玉レディです・・・イメージどおりでしたか(笑)。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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