最近、いろんな生産者さんのパンフレットや商談シートをレビューしたり、作成したりすることがあります。主に文章をレビューします。
商談シートについて、農業の世界ではFCPシートという、共通フォーマットがあります。そこに、商品特徴、利用シーン、ターゲット、生産工程などを書きます。そしてそれを展示商談会で使います。
商品特徴をまとめたシンプルな商品紹介パンフレットや、バイヤーへ送るE-mail文章を作成することもあります。
あなたの文章がお客さんとのファーストコンタクトに
農業者にとって、文章を書くことが非常に大切になってきていると感じます。
お客さんは、あなたの農園や商品の紹介文を読んで、興味を持ちます。バイヤーさんは、展示商談会で全てのブースを回ることはできません。だから、あなたが提出した商談シート(FCPシート)をまずチェックします。そして訪問するブースを事前に決めます。振るいにかけれらるわけです。
また、ホームページも文章と画像により構成されています。個人客を含めた多くの人が、ホームページを見に来ます。そしてあなたの農園について書かれた文章を読みます。もし興味を持てば、商品を購入してくれます。
さらには、補助金を申請する時も、文章力がとても重要です。何百万円という補助金額が、あなたの文章力にかかっています。
にもかからわず、大半の農業者が文章作成を苦手としているのが現実です。
当たり前になっていない?
ではなぜ農業者は文章を書くことができないのでしょうか?
それはあなた自身が、商品や農園の特徴を理解していないことにあります。あなたは、それらを日常的に見ています。あまりにも近くにありすぎて、その特徴が普通になってしまっているのです。
あなたにとって何の特徴もないと思われることでも、お客さんから見たら「ほぉ~」ということが多くあります。
たとえば、僕が以前働いていたブドウ農園。標高約600mの南斜面に位置し、農園からは美しい山々の景色が眺望できます。とても癒される景色です。(上の写真)
しかし農園の社長にはその良さが全く分かりません。生まれたときからその景色をみて育っているからです。半分笑い話ですよね。(そこがほのぼのしていて良いところでもあるのですが。)
農家の場合、その土地に根差した人が多いので、なおさら自分や土地の素晴らしさが見えないのです。
差別化できる特徴を把握することが第一歩です。まずはそれらを理解し、整理できないことには、文章に落とし込むことはできません。
外部の人間に見てもらう
その解決策は、外部の人に見てもらうことです。何の偏見もない外の視点から、あなたの農園や商品のことを見てもらいます。すると、あなたには見えなかったことが、簡単に見えます。あなたにとっての日常が、外から来た人にとっては非日常的で、とても新鮮だからです。
僕もよくその立場で、レビューをします。その農園さんの素晴らしい特徴がすぐに見えます。でもこれは別に僕が特別な訳ではありません。確かにその道のプロとして、チェックすべきポイントは複数持っています。しかしある意味、だれでもできることです。
ぜひそのアドバイスを素直に求めてみてください。
-田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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