クレームはある日突然やってくる(農業者の心構え)

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一週間続いた富山での地方催事の最終日・・・

やっと終わった~。かなり売れたし、俺頑張ったよなぁ。帰ってのんびり休もう!と、自己満足に浸っていました。

そのとき突然電話がなりました。取引をしている、都内の大手百貨店バイヤーさんからでした。なんだろう?

「おたくの加工品にカビが出た。この商品を食べたお客様が体調を崩されている。品質保証部まですぐに来い。」

バイヤーさんの怒りと動揺が手に取るように分かりました。
僕の血の気はサァーーと、引きました。やばいことになった・・・。

徹夜で富山から東京まで車を走らせ、某百貨店の品質保証部へ。そこには数人の担当者が待ち構えていました。そして取り囲まれ、矢つぎばやに尋問を受けました。

あ~、もう煮るなり焼くなり、好きにしてくれ・・・。俺は丸裸じゃ~。

僕がブドウ生産法人で働いていた時の実話です。

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それはある日突然やってくる

まさか自分の商品にそんなことが起こるはずがない、と思ってました。大規模クレームなんて、他人事のように思っていました。こんなに品質に気をつかっているのだから・・・

しかしそれはある日突然やってきます。販路が広がれば広がるほど、そのリスクが大きくなります。取引先が多ければ多いほど、影響範囲も広くなります。

結論からいうと、後日それはカビでないことが分かりました。成分分析の結果、品質的には全く問題がありませんでした。少し変色した枝部分が、お客様からカビに見えただけだったのです。

しかし、それを含めてクレームなのです。お客様からみてカビに見えたのであれば、それは問題ととらえないといけません。現に、体調を崩されているのですから。

トレーサビリティの見直し

その時、バイヤーさんからの指示もあり、トレーサビリティを徹底的にチェックしました。

トレーサビリティとは、 「食品の安全を確保するために、栽培~加工~流通などの過程を明確にすること。」を言います。生産者のあなたは、この言葉を絶対に覚えておいてくださいね。

防除(農薬散布)回数や、仕入れたブドウの栽培過程、製造時の異物混入の可能性・・・。特に仕入れた原料の状況を調べるために、これまた色々飛び回り、大変な時間を費やしました。

すべてのトレーサビリティに問題ないことを確認し、それを百貨店に説明し、納得してもらいました。すべての問題が解決するまで、一か月間修羅場でした。

これからの時代、トレーサビリティがもっともっと厳密に求められます。あなたの商品の原料が、いったいどこで、誰が、どのように作ったものなのか、あなたは把握していますか?

美味しい商品を作っているだけでは、ダメなんです。

PL保険入っていますか?

まだまだ入っていない生産者さんが多いように思います。

PL保険(製造物賠償責任保険)とは

製造した製品や販売した商品、また、施工業者が施工を行った結果によって生じた事故により、賠償責任を負った場合にその損害が補償される保険です。損害賠償金や賠償に関する訴訟費用、弁護士費用などによる損害を補償します。 

PL保険ドットコムより引用(http://pl.y-ins.net/)

たとえば、
・あなたの加工品に細菌が混入して食中毒を起こした
・炭酸ジュースビンが破裂して、ケガをさせた
・針などの異物が混入して、口にけがをした

のような状況が起こったときの保険です。農業者のあなたもこの保険に入らないといけません。

見落とされがちな「商品回収費用」の特約

当然、PL保険に入っているよ~、というあなた!
ちょっと待った!一つ確認してください。

PL保険は賠償責任を補償するためのもので、商品回収コストをカバーしていません。

え?どういうこと?

自動車会社でよくリコールをやってますよね。それをイメージしてください。車に欠陥があった場合に、お客さんからその車を回収します。まずは新聞や雑誌などで、リコールの旨を広報し、輸送費をかけて車を回収し、回収した車を一時保管し・・・

この一連の流れをPL保険はカバーしていないのです。もしあなたの加工品が回収騒ぎになったときに、多大なコストがかかることは、容易にイメージできますよね。

一度、PL保険代理店に確認してみてください。リコール補償については、特約という形でつけるのが通常です。

あなたは販路拡大を目指していますよね。それはそれでとても素晴らしいことです。僕もあなたを全力で支援していきます。

しかし、忘れないでください。その日は突然やってきます。

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
アグリマーケティング株式会社 代表取締役

農業者の販路拡大や6次産業化を支援。産地に軸足を置き、現場視点でのサポートが特徴。また6次化を推進する自治体への支援にも注力している。Web制作やコンテンツ制作の評価も高い。
自らも一農業者として、6次産業化を地を這いつくばりながら進めた経験あり。
2015年 新潟市主催(日本食糧新聞社運営)の6次化大賞グランプリを受賞
2016年 中央サポートセンター(全国版)の6次産業化プランナー認定
2017年より日本食糧新聞社 特派員としても活動中
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