「展示商談会に出たけど、あまり成果なかったよね。コストもかかっちゃったし(溜息)。もう出るのやめよう。」
という意見。
「この前の展示商談会、とても意味あったよね。新商品の評価も良かったし。次回もいっちょ出てみよう!」
という意見。
あなたの中に潜む、2人の人の意見です。
農業法人で社員がいれば、展示会肯定派と否定派、社内で議論が分かれるはずです。
ほとんどの生産者が無意味な議論を繰り返している
効果があったか、なかったか、あなたはどうやって判断していますか?
判断基準はありますか?
ほとんどの人は、漠然としているはずです。僕が農業法人にいたときも、実はこの漠然とした議論が繰り返されていました。
「そりゃ~、販路がどれだけ広がったかだよ、田中君」と諸先生たちに言われそうですが、、、販路の広がりは、一つの判断要素に過ぎません。
ここだけで見ているから、展示商談会のことを正しく理解できなくなるわけです。
費用対効果とは?
「費用対効果」という言葉を聞いたことがありますか?
かけたコストに対して、どれだけの効果があったかを表す指標です。
「費用対効果」という言葉が大好きで、漠然と連呼している生産者(行政や主催者も)がいます。しかしこれを数字で把握している人は殆どいません。
数字で把握せずに、どうやって判断するのか・・・
不可能です。
指標に使う数字
時系列に説明していきます。
まずはコスト。
展示商談会の出展にかかる費用です。何がありますか?
出展料、人件費、宿泊交通費、試食サンプル代、ブース装飾費・・・。これらを把握しましょう。完璧な計算をしていると嫌になるので、最初はざっくりでも構いません。
次に・・・、見込み客の獲得数。
見込み客とは、将来のお客さん候補です。これは名刺交換数で計測します。やみくもに集めても意味がないので、商売につながる可能性の高いバイヤーさんの名刺が何枚集まったかを数えます。
そして、成約した取引額。
ただしすぐに成約するわけではないので、これについては一定期間を設けます。たとえば、展示会後1年間を計測期間とします。この期間に、どれだけの売り上げに繋がったか集計しましょう。
次に計算をします。
簡単な簡単な割り算だけですから。もう少しお付き合いください。
●見込み客一人を獲得するのに、いくらのコストがかかったか?
総コスト ÷ 獲得した見込み客数
これで有力な名刺一枚をゲットするのにあなたがかけた費用が分かります。例えば、展示会コストが20万円で、獲得した名刺が100枚であったとします。この場合、あなたは名刺一枚獲得するのに2000円かけたことになります。
注意点としては、商売につながる可能性の高い名刺に対してだけ計算するようにしましょう。なんでもかんでも入れてしまうと、効果測定になりません。
●かけた総コストに対して、どれだけの売り上げがあがったか?
総売り上げ ÷ 総コスト
この数字が1より低いと、かけたコストを回収できていないことになります。厳密には粗利にて計算すべきですが、ここでは分かりやすく売り上げにしています。この数字を、展示会終了後、半年か1年くらいで区切って、計測します
これらを展示商談会毎に計算します。これが費用対効果の指標となります。
もちろん、あなたなりの指標もあることでしょう。ぜひ考えてみてください。
この数字があってはじめて議論ができる
「総コスト ÷ 獲得した見込み客数」や「総売り上げ ÷ 総コスト」の指標は、あなたがその他のイベントに出店したときも使えます。
展示商談会と比べてみましょう。どちらのほうが効果があるでしょうか?展示商談会にコストをかける意味はあるでしょうか?
この数値を把握せずに、いくら考えてみても、本当の答えは見つかりません。
改善点も見つかるようになります
例えば・・・
・名刺集めは、効率よく出来ていたのに、売り上げに繋がっていなかったとします。それは、あなたのアフターフォローに問題があったと言えます。
・1人で対応した展示商談会と、5人で対応した展示商談会。集めた名刺の数はもちろん5人で対応した時のほうが多いはずです。しかし、「総コスト ÷ 獲得した見込み客数」を計算してみると、1人で対応した時のほうが、効率が高かったことも分かるようになります。
・展示商談会にかけたコストを計算することにより、コスト意識が高まります。
・費用対効果の低かった展示商談会には、次の年から出店を取りやめることができるようになります。
・もしかしたら展示会主催者は、そのような明確な指標で展示会が評価されることを望んでいないかもしれません。もし、主催者がそのような態度なら、もう次回出展する必要はありません。
展示商談会は意味があるのか?ないのか?
もう不毛な議論はやめにしましょう。数字で判断する癖をつけてくださいね。
-田中良介
追伸:大まかなことは全て述べましたが、もっと詳しく知りたい方は、お知らせください。ご説明に伺います。(とくに行政関係者の皆さん!!これはあなたの仕事ですよ^^)
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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