イベントで仕掛ける次の一手①

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全国どこの行政も、地元産農産物の付加価値アップに取り組んでいます。
その取組みの一つとして、農産物の新たな料理メニューを作ってPRする方法があります。

簡単に言えば「地元農産物の料理教室」ですね。そこで仕掛ける「次の一手」について話します。何か皆さんの参考になれば・・・。

一般的な進め方

料理教室開催の主な準備作業は、
①講師役の料理人を選定し依頼
②日時会場決定、収支計画(予算)策定
③大豆料理メニューを料理人と検討し決定
④参加者募集方法の検討・実施
⑤食材等の事前準備 
⑥当日の教室開催(アンケート調査実施)
といったところでしょう。

事前の仕掛け

さて、この料理教室は、誰のために行うのでしょうか・・・。地元住民のためでしょうか。そうですが、さらに地元で大豆を作っている生産者のためでもあります。生産者と消費する住民(生活者)が一緒に大豆の価値を共有し、美味しさを発信していくことが目的です。

ですから、生産者が熱く燃えて関わることが何より重要です。行政はあくまでバックアップ役なんです。では、生産者のやる気をどうやって引き出すか、私が仕掛中の事例を紹介します・・・

ある土曜日、休みの日ですが中心的な大豆生産者2人を連れて、講師になってほしい料理人(佐久市の職人館主・北沢正和さん、農林水産省 料理人顕彰制度「料理マスターズ」シルバー賞受賞者)の食事処に行き、生産者の大豆(「ナカセンナリ」という品種)を使った料理を作ってもらい(事前に大豆、米を郵送)、試食しました(北さん、無理を言ってすいませんでした)。

大豆を使ったメニューは、スープ、サラダ、リゾット、パスタ他計10品で、試食した結果は、「大感動・大満足」。私は北沢さんとは旧知の仲なので、食べてもらえば満足すると確信していました(ホントに!)。

試食後、大豆生産者と料理人と行政職員がタッグを組んで料理教室を行うことで一致したのは言うまでもありません。大豆生産者の心に火がついたのです。この初期動作が大切なんです。今、生産者のグループが主体的に動き始めています

次につながる一手

イベントがアンケート調査等で終わってしまうのはもったいないと思います。そこで、何を仕掛けるのか。皆さんもいろいろなアイデアが浮かぶでしょう。料理中の流れをビデオにとる、レシピを作って配る、料理コンテストをやる等です。私の考えている仕掛けは、いたってシンプルです

料理教室の場で、地元住民の参加者20人程に「地元大豆を美味しく食べる会(仮称)」の結成を呼び掛けるのです。美味しいを実感しているその場なので、参加者(生産者と生活者)が応じる可能性は高いと思います。

次にどんなことをやるのか、その会で意見を出してもらい、次の実行の主体者作りをその場に織り込んでおきます。あまり強要するのは、ダメ。その場面で大切なスタンスは・・・「とりあえず」です。

「とりあえず」立ち上げておいて、反応を見ます。もっと一気に燃えるかもしれませんし、湿った薪に火がつかない状況かもしれません。そこで考えます。いいじゃないですか、自律的な動きを作っていくのが行政の役目なんですから(大豆生産者たちは、なぜ取り組むのかの本質は理解しています。してない場合は、徹底して対話する必要性を前回のブログに書いています)。

仕掛けて、行きつ戻りつしつつ、前に進んでいきましょう。(このイベントは来年3月中旬に行います)。

ここでのまとめです。生産者の動機付けをし、主体的な行動につなげ、とりあえず」の一手を打っておく。そこから、先が見えてきます

私が仕掛け中のもう一つの事例(1月初旬に結果がわかります)は、また違ったとりあえず」の仕掛けです、次回に。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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