こんな商談には要注意

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展示商談会に出たことのある方は分かると思います。

商品の価値を、バイヤーさんに正しく伝えることって難しいですよね。農業者は、商品の魅力を伝えることが下手で・・・、なんて議論もよく聞きます。行政関係のセミナーに参加すれば、バイヤーさんに魅力をしっかり伝えましょうということを言われます。

本当にそうでしょうか?

実はバイヤーさんに魅力を伝えよう、伝えよう、とすることが、逆効果になるケースがあります。

僕自身、取引を通して、様々なバイヤーさんを見てきました。昔からうすうす感じていたことなのですが、最近になって、やっぱりそうか、と思ったことがあります。

それは・・・

商品の価値や魅力を、正しく理解できないバイヤーさんが結構いるということです。そもそも今やっている仕事が好きでなかったり、上司から言われて嫌々商品を探していたり・・・。最低限のトレンド情報を集めていない人もいます。産地や売り場などの現場を、しっかり見ていない人もいます。

そのようなバイヤーさんに、どれだけ商品の価値を正しく伝えても、伝わることはありません。

幸か不幸か、そのようなところと取引が始まってしまえば、その先あなたは嫌な思いをすることになります。あなたの我が子のように大切な商品が、雑に扱われているところを目にすることになるからです。商品や生産者に敬意をもっていないことが、浮き彫りになります。嫌ですよね。

では、そのようなバイヤーさんをどうやって見極めればよいのでしょうか?

これは難しい問題です。僕がやっているのは、商談の場で、とことん突っ込んだ質問をすること。自分の商品説明をしたあとは、できるだけ相手の話を聞きます。

たとえば、

・御社にとってのターゲット顧客はどのような人たちですか?
・どのような想いをお客さんに届けたいと思いますか?
・そのために、御社で意識していることはありますか?
・どのような商品が今後、お客さんに受け入れられるようになると思いますか?

相手の答えに対して、「具体的にはどういうことですか?」「そればなぜですか?」と深堀して、相手のスタンスをとことん聞き出します。ちなみに、これは相手のニーズを聞き出す作業と同じです。

相手が、高い志をもって商売をしているか、あなたは見極めないといけません。あなたの納得のいく答えを出せないバイヤー、曖昧なことしか言えないバイヤーさんには要注意です。

あなたと価値観の合わない会社に対して、どれだけ良い説明をしても、どれだけヘリ下ってみても、時間の無駄です。ただし、これはバイヤーさんや相手企業の問題ではありません。

これは相手を見極めることができなかったあなたの問題なのです。

さらにいうと、数を打たないと、バイヤーさんを見極められるようになりません。最初は失敗覚悟で、展示商談会に出てみましょう。そこで痛い目にもあいながら・・・

伝える力と、バイヤーさんを見極める力、両方を鍛えていきましょうね。

-田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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