前回、千曲川沿線のワインを中心に提供する「ろくもんワイントレイン」のことを書きました。今回は、ワイン 醸造を支援する民間企業の紹介です。
この大手リース会社は、信州ワインバレーの動きを見ていて、自社も何か関わることができないかと考えていました。
従来から、トラクター・コンバイン・スピードスプレイヤーなどの農機具リースや中古農機具の買い取り事業、中古重機の販売事業をしています。
どこにニーズがあるか
特に千曲川ワインバレーの先行的な動きで気になるのは、栽培を行い醸造は既存のワイナリーに委託し買い戻して販売する「委託醸造生産者」が増えていることです。
ワイナリー建設には設備投資資金が必要なので、自前のワイナリーを持つには時間がかかります。そこにニーズを見出したのです。
どんなリース商品か
リース対象の設備は、除梗破砕機、搾汁機、ポンプ、タンク、充填打栓機、樽、ラベラー、トレリスなど、設備のほとんどです。仕様や購入先には制限がなく、お客様の選定した設備を扱います。
リース契約は、リース会社が設備を所有して賃借する契約ですが、利用者は初期投資が不要で、法人ならリース料は費用処理できます。
しかも、リース期間のリース料の負担額の傾斜配分等は、個別に対応するとのこと。建設初期はぶどう原料の量が少なく、採算に乗るには時間を要するので助かると思います。
ワイナリーを持ちたい生産者にとっては、強力な醸造支援商品といえます。
当然、建物の費用は借入金等で調達することから、金融機関との合わせ技の利用になろうかと思います。今後は、苗木のリースも行うようです。
協議会の場は双方にメリット
過日、協議会で説明してもらいました。
8市町村は、ワイナリー建設を支援する民間の情報が得られ、メリットがありましたが、リース会社にとっても、8市町村にまとめて説明でき、大きなメリットがあったと思います。
こうして、栽培・醸造面で支援していく方策の一つが民間との連携が見えてきました。
資金調達面では、小規模事業者に対し、クラウドファンディングの手法も、行政マンとして一通りは理解しておく必要があり、民間事業者による説明会を企画できればと思います。
質問は、確認程度で、会は無事終了しました。
その後起きた意外な展開
メンバーには、税務署職員も参加しており、リース会社の説明者と名刺交換し話し始めました。普通の光景なのでやり過ごしていましたが、なかなか話が終わりそうもないのです。
普段はあっさり終わるのに、意外です。
何事かと近づいて聞いていると、税務署職員がどうもこの商品にはさらに詰めるべき点があるのでは、と話し込んでいます。説明の場を設定した私は、だんだん心配になってきました。
が、リース会社本社から来た説明者は、悠然と聞いています。余裕があるようにみえます。ナゼなのか不思議でしたが、話しが終わって彼は私にこう言いました。
「全国で初めて開発する商品なので、色々事前に指摘してもらうのは有り難い限りです」
なるほど、商品づくりの一環なのか。納得です。
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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