チャンスをつかむ農家の特徴

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タクシーこないなー。ぜんぜん来ないなー。
こんな寒い無人駅に放置されたら凍えてしまうぞ(・・;)

先日、福島県の西会津を訪問したときの出来事です。

そのとき、軽トラが僕の前に止まりました。フロントガラスに、手書きでこんな張り紙がしてありました。

“軽トラ(ワ)タクシー”

こ、このタクシーはいったい・・・。よくわからないけど、有無を言わさずその軽トラタクシーに拉致され、雪深い山奥へ。

着いたところは・・・キノコハウス!!
そこに待っていたのは佐藤昭子さん「こんな限界集落の無人駅に、タクシー来るはずなでしょ~。だからこっそり迎えにいったのよ(爆笑)」

縁側カフェ

いきなりやられた~。
軽トラタクシーの運転手さんは、昭子さんの旦那さんでした。

キノコハウスの佐藤昭子さんは、弊社サイトにも記事を寄稿してくださっています。だから読者の中には、ご存知の方も多いのではないでしょうか?(メープルサイダー物語を参照)

福島県西会津の田舎で、農業を営んでおられます。佐藤さん曰く「限界集落を超えた、消滅可能性集落」です。

会社名の通り、もともとはキノコ栽培農家さんでした。それなりにうまく行っていたとのことで、輸出案件も決まっていました。

しかしそれは3.11を境に一変しました。

西会津はさほど被害はなかったそうです。しかし風評被害に苦しみました。キノコ事業からは撤退せざるをえませんでした。

そこからの方向転換がすごい。地元のイタヤカエデに目を付けて、そのメープル樹液の採取を始めます。それをメープルサップという商品で売り出し、さらにはメープルサイダーとして、6次産業化に取り組みます。

僕がキノコハウスさんに初めて出会ったのはこのころです。

タクシーが一台も走っていない、限界集落でここまでパワフルに動いているわけです。そして、可愛いお孫ちゃんが2人いらっしゃいます。そんな年代の方です。でも限界集落のなかでは、まだまだ超若手です?

昭子さんが言うには、イタヤカエデのほうから「商品を作ってほしい」と言われたとのこと。イタヤカエデだけではく、そのほかの山野草などからも話しかけられるそうです。また、たまたまお会いした人と、ビジネスのチャンスが広がっている、ということです。

要するに、ほかの人が気づかないチャンスに、昭子さんは気づいているということです。それだけアンテナが立っているということですね。

晩御飯を一緒に食べていたときに、昭子さんが言っていたことが印象的です。これがキノコハウスの今の躍進を表していると思います。

私は山菜のワラビに教えてもらったことがあるのよ。山に入って、ワラビを見つけたとするでしょ。でもそこで終わらしてはいけない。

●同じ道を戻ってみること。必ず見落としているワラビがある。(例. 同じ本も読み返せば、必ず発見がある。)

●前後左右を見渡してみること。視野を広げて見つかるワラビがある。

●1本のワラビの先には、まだ自分には見えていない3本のワラビがある。(例. 一人の人に出会えば、その先には今後出会う可能性のある3人の人がいる。)

奥が深いですよね。

あなたは、農業が上手く行かないことを、周りのせいにしてしまっていませんか?周りのせいにする前に、四方を見渡してみましたか?その先にあるものを見ようとしてみましたか?

販売促進の支援に行ったはずなのに、僕がいっぱい教えてもらい帰ってきました。そしてお腹いっぱいに、福島名物をご馳走になりました。

近日中に、都内有名店でメープルサイダーの販売が始まります。その先には、海外へも!?

今後の活躍が楽しみです。

 -田中良介

P.S. 弊社サイトで佐藤昭子さんの新しい連載が始まります。3月くらいからです。次のテーマは「農家の嫁」です。ディープな内容になりそー。

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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