カビクレーム・・・
おかしいな。この商品でカビは出ないはずなんだけど・・・。
でもお客さんがカビが出たと言っているから、本当にカビかもしれない。
電話越しに感情的になっているお客さんをなだめるので精いっぱい。
こういうときは言い返してはいけないですし。
話を聞きながら、ふと気になることが。
このお客さん、うちの商品を冷蔵庫に入れていないぞ。
要冷蔵品なのに、常温保存している・・・
そりゃ、カビが出るわな~!
と、いう僕の心の声は横に置いておいて、
「申し訳ございませんでした。代わりの品をお送りさせていただきます。」
「返金させていたただきます。」
などの対応をします。
さて、あなたはこのようなクレームを受けた後、
どのように対応しますか?
「お客さんが冷蔵保存しなかったのが悪いよね。」
と、社内で愚痴っているだけでは、今後同じクレームが繰り返されることになります。クレーム対応には時間とコストと心的ストレスがかかります。
お客さんの思い込みがある商品は特に要注意!
クレームを受けた商品は干しブドウでした。通常のドライフルーツは、常温保存ですよね。しかし僕が取り扱っていたのはセミドライタイプだったので、要冷蔵品としていました。
もちろん裏ラベルには
「保存方法:要冷蔵(10℃以下にて保存)」
と書いてましたよ。
しかし裏ラベルの小さな文字。そんなもの誰も見てくれません。かつ、お客さんの頭の中には
ドライフルーツ=常温保存
という方程式が出来上がっています。それを疑うこともありません。だから、裏ラベルをわざわざ確認することはないのです。
あなたの取り扱っている商品の保存方法が、一般的に出回っている類似商品と異なっている場合は、とくに注意が必要です。
お客さんへ明確な指示を出す
そのとき、僕は商品パッケージの表面に、「要冷蔵」という大き目のシールを貼りました。一目で取り扱い方法が分かるようにするためです。これをやってから、“理不尽な”カビクレームは激減しました。
このような対応が必要なのは、個人客に対してだけではありません。
スーパーや百貨店に納品するときも同様の対応をすべきでしょう。
当然、バイヤーさんはあなたの商品が要冷蔵品であることを承知しています。しかし、その他の店頭スタッフはどうでしょうか?パートさん、アルバイトさん、期間雇用スタッフ・・・彼らが、新商品の取り扱いを完璧に把握しているかというと、クエスチョンマークです。
取り扱いを間違えられてしまうと、お客さんへ品質面で問題のある商品が渡ってしまいます。それは僕としても本意ではありません。お客さんへは最高の商品を届けたいと思っています。
だから、僕は納品箱にも、両面にデカデカと「要冷蔵」というシールを貼っていました。店頭スタッフに対する明確な指示としてです。
お客さんは想定外の動きをするもの
販売/納品したあと、お客さんは想定外の行動をします。ぜひこのことを気に留めておいてください。
そんなことは、生産者にとって責任の範囲外だ、という意見もあることでしょう。その意見は否定しません。あまりにもこちらの手間が増えるのも問題です。
しかしちょっとした気遣いが、お客さんの満足度を上げるのであれば、対応すべきでしょう。巡りめぐって、理不尽クレームが減れば、あなたの時間にゆとりが生まれます。
-田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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