一時が万事、ロボット化を追い風に

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いつもより早く起きて、朝刊長野版(日本経済農業新聞2019年7月3日)を見ていると、こんな見出しの記事が目に飛び込んできた。


『ロボット型草刈り機が中山間地農業を変える』

ー都市圏料理人らが注目ー

上田市石田地域は粘土質で日当りもよく、昔から首都圏の一流料理人が競って扱った「棚田米」の産地である。

しかし、この棚田で米を生産する最大のネックは、田と田をつなぐ急傾斜地が多く除草作業に多大な労力と危険が伴うこと。棚田の維持管理には欠かせないこの作業は高齢者に重荷となり、耕作放棄が増加、棚田米はいつしか幻の米といわれるようになった。

今、この棚田米が首都圏の一流料理人たちから注目を集めている。
新しい傾斜地用の草刈り機が開発され、作業効率が高まり危険性も減少、高齢者でも農作業がし易くなったからだ。

2日、棚田の農作業を受託する農業生産法人が、首都圏の料理人や百貨店バイヤーら15人を招いて、新たな開発機で急傾斜地の草刈りを行った。

長野県と農業機械メーカー、大学等が2015年から開発コンソーシアム(他分野連携)研究体制を構築。ラジコン型草刈りロボットの開発を進めてきたが、このほど実用化にこぎつけた。

草刈り機の作動状況を見守った東京都で割烹料理店を経営する佐藤義男さん(53)は「夢にまで見た幻の棚田米をお客様に提供できます。これなら棚田が再生できますね」と話す。

生産法人代表の米田民雄さん(70)は「高齢者の農作業をアシストしてこそロボットは国民に広く認知される。ロボットは1次(産業)が万事ですね」と笑った。

棚田を訪れた多くの参加者たちから「生産現場で高齢者をアシストする農作業のロボット化が進めば、この地にしかできない農産物を再び産みだすことができる。私たちはそういうものを求めている」との声がでた。

受けて、生産法人代表の米田さんは「今、ここにしかない風土を活かした農業をアシストするロボット化が始まったのです」と力強く言い切った。


最近、長野県の農業関係試験研究発表会に参加し、「スマート農業の研究最前線」を学ぶ機会があった。ICT(情報通信技術)やAI(人口知能)を農業分野にどう生かすか。

開発中の事例発表を聞きながら、何年か後に上記のような架空記事が掲載される日が来るのでは、と願望を込めて書いた次第です(記者経験ゼロなので、架空記事が読みにくかったことを陳謝します)。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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