私の家の料理よ!

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見よ!写真に映るおばちゃんたちの食い入るような眼差しを。
これは私が万を持して仕掛けた料理教室です。
なぜ、地元のおばちゃんたちがこんな真剣な目つきで講師の料理人を見つめているのか。

それは、彼が料理教室のはじめに30分ほど話をしたからと思います。農水省第1回料理マスターズ受賞者の料理人・北沢正和さんはどんな話をしたのか。
彼の話はこうでした。

人は健康で生きるために食べる。食べるための原点は土。その土が育ててくれた食材は、そのままで美味しい。生産者は土の料理人だ。

料理人は、その地の風土が味付けしてくれた食材を邪魔しないことだ。

ソースなどは、都会で日にちが経った食材をどうしたら食べられるかを考え、こねくり回したもの。そんなレシピ中心の都会の料理を真似してどうする!

この地でとれた食材の味を楽しまないともったいない。だから、伝えたい料理の基本は、調味料の塩・醤油を選ぶこと。化学調味料などもっての外。この食の基本を持って調理する。

参加者はこの話を聞き、変わったと思います。都会のレシピ料理を学んでどうする、という問いかけは、この地で長く生きてきたおばちゃんたちの胸に響いたと思います。

この地の風土で味付けられた食材を、どう邪魔しないで料理するのか。最初に書いたおばちゃんたちの「食い入るような眼差し」につながったと思うのです。

今日のメイン食材は、地元の塩田産大豆「ナカセンナリ」と米。
献立は6品。
・玄米と大豆のお茶
・大豆、野菜、米のリゾット
・大豆と野菜のサラダ
・大豆と野菜のトマト煮込み
・きな粉とお餅の黒糖ソース
・きな粉とリンゴのお米デザート

どれも、食べたことのない大豆の甘みが生きていて食欲を誘います。
翌日の新聞記事に載った参加者の言葉は「作って食べてみて、初めて体にいい料理ということを実感した」。

最後に、今後もこの会を続けていくことを全員で確認しました。今日の何品かを下ごしらえから自分たちでやりたいとの声が多く出たからです。

この自分たちでやりたいとの思いはどこから出てくるのでしょうか。
たぶん、自分の家で再現し「私の家の料理」として家族で一緒に食べたいとの思いからでしょう。

この地にはこんな美味しい大豆や米があることを、家族で誇りにしたいからだと思います。

それにしても、歳を重ねたおばちゃんたちのパワーはすごいですね。料理教室をリードし、講師のやる気も引き出しました。

改めて、写真のおばちゃんたちの眼差しを見つつ、私はこの料理教室を仕掛けてよかったと思うのです。

終了後、心地よい疲労感とともに、慰労会&反省会に向かいました。
が、思わぬ展開が待っていました。そのことは次回に。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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