「田中さん、展示商談会が面白くないんです。」
先日、とあるバイヤーさんに呼び出されて、いきなり言われました。何を言い出すんや!!と思いましたが、質問で返してみました。
「どのあたりが面白くないですのですか?」
バイヤーさんの答えは「商品です。ブースに陳列されている商品に魅力がありません。」
は?この人は僕に何を訴えかけようとしているのか、、、。でも、彼は頻繁に展示商談会に顔を出しています。なぜ魅力のない展示商談会に行くのか不思議ですよね。なぜだと思いますか?
ニーズが完全に一致することは稀
バイヤーさんの求めているニーズと、生産者の商品の価値が、完全に一致することはほとんどありません。
商品とは単に味のことを言っているわけではありません。パッケージ、内容量、価格、リードタイム、納品ロット・・・など、多くの要素が含まれます。
仮に万が一、ニーズが一致しているとしても、展示商談会という限られた時間内に、それをお互いが確認しあうことは困難です。
そういう理由があって、僕を呼び出したバイヤーさんは「展示商談会が面白くない。」という言葉で表現していたのです。
では彼がなぜ展示商談会に足を運ぶかというと、そこから先の取り組みにつなげるためです。一致していないニーズを、合わせ込んでいける生産者を見つけるためです。
バイヤーさんだって、展示商談会ですべてが成約するなんて思っていません。柔軟性があって、コミュニケーションの取れる生産者を探しているのです。コミュニケーションを取れれば、求めるニーズに近い商品を作っていくことができます。
サイズを調整したり、それによって価格を調整したり、パッケージデザインを変えてみたり・・・。
でもその生産者がコミュニケーションを取れるどうかは、、、
やはりコミュニケーションを取ってみないと分からないと仰っていました。それがまた骨の折れる作業だと。「だから、田中さん、いい生産者さんを知っていたら紹介してください。」とのことでした。(>_<)
展示商談会はファーストコンタクトの場
それはバイヤーさんにとっても同じことです。
陳列している商品は、最初の接点でしかありません。もちろん生産者であるあなたは、商品の魅力を伝えないといけません。その商品の売り込みに来ているわけですから。
商談後はアフターフォローをしますよね。その段階では、あなたは自分の既存商品に固執してはいけません。相手のニーズを聞きながら、柔軟な対応をしなければなりません。
バイヤーさんの言うことをすべて聞けという意味ではありません。コミュニケーションを取りながら、お互いの着地点を見つけていく作業です。
「面白くなかった展示商談会」
それが時間とともに熟成され、バイヤーさんと生産者の面白い取り組みが始まるのです。
-田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
この投稿者の最近の記事
【田中良介】2018年7月17日国際線での大騒動
【田中良介】2018年6月16日これからの商品開発のヒント
【田中良介】2018年6月12日サラダチキンが伝わらない!?
【田中良介】2018年5月31日境界線が曖昧になってきている!