賞味期限の表示、間違ってないですか?
6次産業化に取り組んだあなた!これを注意しておかないと、大変なことになります。
委託加工で製造している場合は、委託先が一括表示ラベルを作ってくれます。一括表示ラベルとは裏ラベルのことです。名称、原材料、賞味期限、保存方法、製造者、栄養成分表示などが記載されています。
委託ではなく、自社で製造する場合は、このラベルを自分たちで作って貼らなければなりません。これが、慣れない生産者にとっては難易度の高い作業でもあるのです。
通常、パソコンで作ります。製造日を基点として、賞味期限を打ち込みます。そしてプリンターでラベルシールを印刷して、商品に貼りつけ、出荷します。一見単純な作業ですよね。
世間を賑わす賞味期限改ざんのニュース。あなたはそんな悪いことはしないと思いますが、決して他人ごとではありません。うっかりミスで、賞味期限を間違うことがあるのです。
うっかりミスだったとしても、お客さんから見たら「この企業は改ざんしている!けしからん!」となります。騒がれると、大問題に発展してしまいます。
どのようなときに間違いやすいのか、そのパターンをご紹介します。あなたもまずはこれらのパターンを押さえておきましょう。僕も何度かニアミスをやってます。
1.年を越したタイミング
このタイミングが一番キケンです。例えば2017年から2018年になったとします。賞味期間が3カ月の商品の場合、2018年1月1日に製造した商品であれば、2018年3月31日の賞味期限をつけなければなりません。
ここでやってしまいがちなのが、年号の更新を忘れてしまうというミス。上記の例でいうと賞味期限が2017年3月31日となり、過去に設定されてしまいます。
このラベルを見たお客さんはビックリ仰天します。「賞味期限切れの商品が売られている!」と。
2.月が変わったタイミング
ここも要注意です。
年齢を重ねている我々によくあるセリフ「もう、5月?早いなぁ。」、おそらく僕もあなたも毎月のように言ってしまっているのではないでしょうか(笑)
ここに落とし穴があります。潜在的に月日の変化を認めていないと、月の記載更新を忘れてしまうことがあります。「まだ4月の感覚だった・・」ってね。ウソのようでリアルな実話です。
3.残ったラベルの使いまわし
裏ラベルシールは、以下のように複数枚が一枚の台紙に印刷されます。(もちろん専用プリンターを導入すれば、もっと効率的にできますが、多くの生産者は、一番安上がりなこの手法からスタートすることになります。)
台紙から一枚一枚剥がして、商品に貼っていくのですが、これらをうまく使い切ることはほとんどありません。ふつうは端数が残ります。この残ったラベルが、忙しかったりして、机の上にポンッと放ったらかしになると超キケンです。
他の担当者が「あったあった、xxxの商品の裏ラベル。もったいないし使い切ろう。」と間違った商品に貼ってしまうことがあるのです。
企業では「節約、節約」ということがしきりに言われているため、端数があると上手く活用することが善であるという意識が働きます。もったいない意識の弊害です。これも実際、起こりうることです。
対策は?
大企業なら、印字ミスを防ぐシステムを導入したり、徹底的に人の目でダブルチェックをすることができます。
しかし、小さな農家には、そのようなシステムを導入する資金も、随時ダブルチェックをしてくれる人員もいません。理想通りにはいかない厳しい現実があるわけです。
僕が農業法人で働いていたときに、取っていた方法をご紹介します。(従業員は数人)
- まずは失敗事例を社内で共有する。人間は間違うものだという問題意識を持たないと何も防げません。
- 自分ひとりで裏ラベルを作って、商品に貼らなければならない場合は、貼るタイミングで賞味期限を再チェックする癖をつける。(時間をおいてチェックすることにより、うっかりミスに気が付けることが多い。)
- 年越しのタイミングが一番間違いやすいので、その時だけは全ての商品について、他の人にダブルチェックしてもらう。
- そのほかの時は、無作為に抽出した商品を、出荷前にチェックする。(例. 10個に1個)
- 使ったラベルの残りは、すぐに破棄するルールとする。
これらは限られた人員で、ミスを防ぐ必要最低限の方法です。決して完璧なものではないので、ぜひあなたなりの方法も考えてみてください。
この小さな取り組みをしていないと、将来あなたは大きなトラブルに巻き込まれるかも・・・。
-田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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