「畑を見に来ないバイヤーには、売りません。」って、先日ある生産者の方が言っていました。
商品のことや農園のことを、深く理解しようとしない人には売りません!ってことです。表面的なことしか見ようとしないバイヤーはお断りなのです。
購入してくれた顧客のなかの、一定割合は、商品のことを悪く言います。逆ファンになります。こうなってしまう大きな要因の一つは、園主のことも農園のことも良く知らないまま購入するからです。栽培方法や土地環境なども、作物や加工品の出来に大きく影響します。これらの理解だって欠かせません。
それらを理解せずに取引を求めてくるバイヤーさんと、長期に渡ってお付き合いすることは難しい、っていう生産者の主張です。
誰に売らないか
誰に売るか、すなわちターゲティングの重要性はあなたもご存知だと思います。しかしこれだけでは十分ではありません。誰に売らないかも定義する必要があります。
長期的に渡ったお付き合いをイメージできない顧客(バイヤーさん)ってどんな人でしょうか?その定義は、あなたの状況やポリシーによって変わってきます。冒頭の生産者さんの場合は「畑を見に来ない人」でした。
僕が農業法人で働いていたときは、「理不尽なクレームを言ってくる客」は顧客リストから削除していました。クレーム対応には、時間がかかり、スタッフの精神的な負担も大きいからです。(今は、販路拡大支援やコンテンツ制作などを中心に活動していますが、やはり付き合わない人を僕なりに定義しております?)
誰とでも取引してしてしまうと、あなたの限られた時間が奪われてしまいます。そのような客と付き合っても、楽しくないし、利益にもつながりません。
自分にとって相応しくない客を理解することによって、本来付き合うべき顧客(ターゲット顧客)が明確になることも良くあります。逆アプローチですね。
まだ顧客数が少ない場合は・・・
とは言っても「まだまだお客さんが少ないなかで、選んでもいられない。目の前の売上げが上がるのであれば、なんでも飛びつかないと!」と考えるあなたの気持ちも、よ~く分かります。
この考え方もまた正しいです。冒頭の生産者さんだって、今では超強気なことを言っていますが、創業当時は、やはり頭を下げて営業したと言っていました。これが現実ですよね。悔しい想いを数多く経験してきたのです。
しかしその時から「付き合いたくない客の条件」を1つか2つは持っていたと思います。そして、その条件数を、事業の拡大にしたがって、徐々に増やしていったのでしょう。
あなただって、顧客との付き合いのなかで、この人とは付き合うべきでなかったと思ったことがあると思います。その都度「付き合いたくない客の条件」を明確にしていってください。
たとえ、まだまだ顧客数が少なく、断れる状況にないとしても、少なくともあなたの中にポリシーを持っていないといけません。
誰をあなたの世界に招き入れるのか、それを決めるのはあなたなのです。
-田中良介
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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