前回、地域における総合農協が、逆さまのピラミッド図を組合員に示し事業展開を指向するとき、大きな変化が起きると書きました。その続きです。
改めて、地域において、農協が行動する目的は何でしょうか。
JA綱領には・・・
「地域の農業を振興し、わが国の食と緑と水を守ろう」 「環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築こう」とあります。
短く言えば「地域農業の振興」と「豊かな地域社会の構築」といっていいと思います。
先進的な農協の取組み
その視点を踏まえて、いくつかの先進的な農協の事例をみると・・・
○越前たけふ農協(福井県)
農協が独自に外食産業等の販売先を確保、組合員所得の向上を目指し注目されています。
経営方針は、「みなさまの期待に応える事業を行い、地域に認められるJA」「地域に広がり、地域に根づく、拓かれたJA」を掲げています。
○ひすい農協(新潟県)
早くから農協利用者による評価制度を取り入れています。
基本理念は、「かかわるすべての人々や組織に最大限の奉仕を提供し、・・・地域社会の発展に貢献する」としています。
○そお鹿児島農協(鹿児島県)
特に大規模農家の農協利活用促進を目的に農家対策特別班を組成し、注目されています。
運営指針は、「組合員や地域住民のニーズを的確に把握し、迅速に行動しよう」「地域とのふれあいを深める多彩な活動を展開しよう」
3農協の事例だけですが、基本的な取り組みはカバーされていると私は思います。
私の考える農協の存在意義は次の通りです。
「組合員・地域住民のニーズを把握し、地域を拓く農協として、豊かな地域社会を築く主体となること」
では、起点となる「組合員・地域住民のニーズを把握する」には、どうしたらよいのでしょうか。
アンケート調査と事業評価は必須
組合員や利用者にアンケート調査を行うことです。
全国の農協は、事業評価や今後の重点事業を把握するためにどれくらいアンケート調査を行っているのでしょうか。私は承知していませんが、まずはこんな声が聞こえてきそうです。
「合併して組合員は大勢なので、なかなかアンケート調査は難しい。集落(地区別)懇談会を開いて意見を聞いているので大丈夫」「業者に委託してやるのはお金もかかるし・・・」
これは、調査をしない言いわけとしか思えません。先ほど述べた「ひすい農協」の事例は、支店ごとのサンプル的な調査です。それでよいと思います。
継続して利用者の意見を聞くという姿勢が大切で、前向きな事業への取組みと評価されるでしょう。そのうえで、「地域を拓く農協」を考えます。
長くなりました。続きは次回に!
この記事を書いた人

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長谷川戦略マーケティング研究所所長
1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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