千曲川ワインを飲みたい日

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今日は、5月29日の月曜日。
休みが取れたので、妻と自宅から40分かけて日帰り温泉に行く。

露天風呂に浸かり、田植えの済んだ田んぼの景色を眺め、ゆったりとした春風が心地よい。わが身が自然に溶け込んでいく感じは、久しぶり。

風呂から上がったのは、妻と約束してあった1時間後、2人ほぼ同じ。以前は、私が20分は待っていたが・・・、妻も性格が丸くなったということか、はわからない。

土産処で地元産玄米を買う。
明日、自分で一週間分を炊いて冷凍し、解凍して食べていくという自らの食スケジュールを頭で確認したうえであるが。

妻は白米派なので、まったく玄米に興味を示さない。以前、私はしつこく玄米の優位性を説いて聞かせたが、なびかなかった。
それも夫婦というもの。相手の好みを尊重することが長く一緒にいる秘訣、などと特別言葉には出さない。

 

千曲川を挟んで反対側のワイナリーに行く。
エッセイストの玉村豊男さんが営むヴィラデストガーデンファーム&ワイナリーのカフェ。

週末は県外者で賑わうので、月曜日ならと尋ねると、日没(19時03分)閉店の30分前のせいか、我が夫婦1組のみ。

ラッキーと一瞬思ったが、気の小さい私は、私たちが来なければ従業員は帰れたのに、時間を拘束するようで申し訳ない気分になる(妻は別に気にする風はない・・・たぶん)。

窓際の席から、2人で久しぶりにサンセットを眺める。ここは標高850メートル。遠方の山並みに沈みゆく日没の太陽の残光に、還暦を過ぎたせいか、神々しさを感じる。

人生の後半戦が面白い・・・は私の口癖だが、実感。若い時は、直接全身に浴びる朝日の方が断然有難かったが、半世紀も過ぎると、変わるものだ。

ゆったりとした雰囲気は、普段の緊張感のある思考の壁をすり抜けてしまう。
普段飲まない(飲めない)ワインであるヴィラデストヴィニュロンズ・リザーヴのシャルドネとメルローを注文する気持ちがこつ然と湧いてくる。意外だ(根っからの質素な性分と自認していたのに)。

妻は運転手なので家に帰ってから、と事前に納得させておいたため目立った混乱はなし(彼女はワインの銘柄には関心ないので、有難い)。

その代わり、妻用に信州牛のヒレステーキを注文する。私は豚肉のポワレで良しとする。すぐに、気の利くスタッフが取り皿2枚を持ってきてくれたのには、感謝。

私とて、妻がヒレステーキを美味しそうに食べている姿を眺めながら、平静でいられるか確信が持てなかったからだ。2人とも、大変美味しくいただき満足。

そして、デザートはなんだろう・・・サプライズが待っていた。
店からのプレゼントとして出されたのは・・・チョコレートで鮮やかに記された文字付のケーキ(写真)。

実は、店に入ってすぐ、玉村さんや奥様が挨拶に来られた。連絡せず突然訪れたのに、すいません。

玉村さん:「長谷川さんは、我が店に来る時は、何か揉め事があって、奥様をなだめるために来るといっていたけど、今日もそうですか」とにこやかに大きな声で話された。
来たワケを正直に言わなければならないはめになる。人生の達人の技だ。

長谷川(私):「いや、今日は、一年に1度の夫婦2人の記念日なので」と小声で伝える。
そのことに反応してくれたのだ。お気遣いに大感謝。もちろん、美味しくいただく。

家に帰ってから、妻も千曲川ワイン(ヴィラデストのソーヴィニヨン ブラン)を娘たちと一緒に飲んだのはいうまでもない。

ヴィラデストカフェには、次回の記念日の前にも行かねばならない事態に遭遇することが予想され、予算化はしている。

それにしても、温泉とサンセットとワインの組み合わせは良かった。

これから続く人生の後半戦で「豊かさとは何か」を考える時、千曲川ワインは欠かせないと改めて思ったひと時でした。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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