ストーリーにマイナス情報を活かせ!①

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商品は「ストーリーがないと売れない」とよく言われます。

ストーリー作りに関する本は多くあり、いろいろなノウハウが載っています。HPやパンフ、DM、手紙等でどうストーリーを作り、展開するか。

私が講演や相談を受けた時にアドバイスしている「ストーリー作り」のコツの一つを話します。それは・・・

「マイナス情報を活かすこと」です。プラス情報ではありません。どういうことか、簡単に説明します。

私の考えるストーリーの基本的な展開

私が基本とするものは・・・とてもシンプルです(ノウハウ本にも載っています)。

①導入部分“おやっ”―それはなんのことだろう、と注目してもらう。
②展開部分“まあー”―その意味を説明し、驚いてもらう。
③納得部分“へえー”―なるほどと、納得して買ってもらう。

私はその道のプロではないので、「その程度か」と思われるかもしれませんが。
この組立のうち、①の記述に際し、「マイナス情報」が活きると思います。

まずは、私が以前アドバイスしたある旅館HPのストーリーづくりの事例を述べます。

はじめにマイナス情報を発信

その旅館のHPにはこんな記述があります・・・
「We are sorry that」(申し訳なく存じます)
以下は、弊館がお客様に申し訳なく思っている事、マイナス情報です。

エレベーターはございません
昔ながらの木造建築なので、取り付ける場所がございません。
階段が多く、わかりにくい構造になっています
弊館は温泉街の斜面に建っており、棟と棟を結ぶために、地下道、渡り廊下を使用しています。
周りの旅館に隣接しており、眺望は望めません
しかし、それが温泉情緒を醸し出しているのも事実です。

このマイナス情報を見た人は、ふつうは宿の自慢をアピールするのに、「おやっ」と思うでしょう。まずは注意を引きつけます。
では、この宿は何が自慢なのか・・知りたい気持ちが湧いてきます。

プラス情報がより強調される

そのうえで、HPでは続けて・・・
「We are proud of」(誇りに思っています)
どんな宿でも、他の宿には負けないもの、自慢できることがあると思います。弊館では次のものです。

何といっても100%源泉かけ流し
50度~97度の異なる源泉が6か所。総湯量は毎分400リットルとなり、全ては使い切れません。館主は16代目で源泉を守り続けています。

歴史ある木造建築です。
創業400年以上、今では価格からしてなかなか使えない杉の無垢材等をさりげなく使用しており、今風の建築とはひと味もふた味も違います。

ご夕食は、できたて、作りたてをお召し上がりいただけます。
温泉とマッチするよう、体にやさしいシンプルな料理を、作りたてで召し上がれるよう努めています。

■館内にリラクゼーションマッサージルーム
専従セラピスト(スロバキア出身)が常勤していますので、本物の温泉とプロフェッショナルなマッサージで癒しの世界へどうぞ。

この旅館は、エレベーターはなく、古い建物で景色も期待できないけれど、他にはない「16代も続く温泉の量と質」が自慢ということがわかります。

湯量が豊富な「温泉に浮かぶ古風な宿」というイメージづくりです。プラス情報がより強調され「まあー」、そして「へえー」につながるかと思います。

マイナス情報は、ほかにも効用がありますが、その話は次回に。

 

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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