ストーリーにマイナス情報を活かせ!③

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直近2回のブログで、マイナス情報の活かし方を温泉旅館の事例で簡単に説明しました。

続いて、今回は農産物や加工商品のストーリーづくりに、マイナス情報をどう活かすかです。

復習ですが、以前に書いた私の考える商品のストーリーは3つのステップで考えます。
①導入部分“おやっ”―それはなんのことだろう、と注目してもらう。
②展開部分“まあー”―その意味を説明し、驚いてもらう。
③納得部分“へえー”―なるほどと、納得して買ってもらう。

この組立のうち、①の記述に際し、どう「マイナス情報」を活かすかです。単純ですが、架空の「家族で有機・無農薬野菜を栽培している農園」で考えてみます。

■マイナス情報

少量しか作れません。
家族による小規模経営ですので、量は限定的です。少しづつしか拡大できません。

災害や病害虫等で大きな影響を受けます。
無農薬栽培ですので、天候や害虫の影響を受けます。それだけ「自然が産み出した野菜」ともいえると思います。

価格が通常より高くなります。
機械化による効率化を追求できないので、スーパーの価格よりも高めです。

□自慢・誇り

○農園の自慢は土づくりです。
一番の自慢は、土づくりです。私は父親と共に近くの乗馬クラブに入っており、馬糞を堆肥化して柔らかい土づくりをしています。
日々、馬の優しさに癒されていますが、「癒す野菜」を作り、皆様に提供することが使命です。

家族で作った野菜を皆様におすそ分けいたします。
私たち家族は、手間暇かけて草をむしり、病害虫を取り除き手作業で愛情をこめて野菜を作っています。自らも食しており、健康そのもの。その健康をおすそ分けいたします。

○近くの飲食店に長年提供し、好評をいただいています。
この土からつくられた、キャベツ、白菜、ネギ等は、長年近くのラーメン店他の飲食店で使っていただき、お客様に大好評です。父親の作ってきた野菜を家族が一緒に作ることで、今まで以上の量を確保し、今回ネット販売することになりました。

信州の冷気、清らかな水、太陽のエネルギーで育った癒し野菜です。
精魂込めた手作りの有機無農薬なので値段は少々高いです。季節ごとの旬な野菜を食べていただき、「食卓に笑いが絶えない健康家族」へのささやかなお手伝いができれば幸せです。

といった内容です。上記の①と②のステップの組み立てに役立つかと思います。マイナス情報を掲げ自覚し発信することで、他にはない自らの自慢・誇りは何かを見出す手掛かりになるかと思います。

個人の情報、この例では馬とのかかわり=癒し=馬糞堆肥による「癒し野菜」づくりというストーリー展開です

皆さんの農産物等のストーリーづくりに少しでも役立てばとの思いで記しました。

P.S.
①この架空の事例は、亡き父親が野菜作りをしていた実例を、もし私が一緒に継いでいたならば・・・、という鎮魂の思いを込めて文章化したものです(あしからず、ご了承ください)。②写真は、現在の我が家の家庭菜園です。有機無農薬のきゅうり栽培だけは、毎年いろいろな方に褒められます(笑)。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川戦略マーケティング研究所所長

1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。長野県信連勤務後、政策研究大学院大学で公共政策修士を取得。長野県や上田市で統一ブランドの創設や農産物マーケティングを推進。また、小学校PTA会長や地域活動にも積極的に取り組む。現在、中小企業診断士・公共政策修士として「長谷川戦略マーケティング研究所」を立ち上げ、企業や行政のマーケティング支援に従事している。落語鑑賞が趣味で、「上に立つより前に立つ」や「やってみなければ幸運にも巡りあえない」という言葉が好き。
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