農家のおっちゃんって、気前いいですよね。(もちろん、おばちゃんもです!)
直売所や農園で1個買うと、2個おまけしてくれます。おいおい、買った量よりも、多いやんけ!大丈夫か?って思いますが、お客としてはやはり嬉しいものです。
「こんなにいいんですか!?ありがとうございます!」と言うと、農家のおっちゃんもまんざらでない顔つき。
その生産者の方が、兼業農家であったり、趣味程度で農業をやっているのであれば、これで問題ありません。
でもですよ、もしあなたが本気モードで農業や6次産業化に取り組んでいる場合、こんなことを惰性で続けるとエライことになります・・・。ビジネスとして立ち行かなくなります。
当然ですよね。サンプルや試食を大盤振る舞いするのは、お金をばらまくのと同じです。少し計算してみれば、赤字になることは明らかなのです。
しかし多くの農家が、大盤振る舞いの悪しき習慣を引き継ぎ、その態度を変えようとしません。
僕が見てる限り、その瞬間の気分がいいから、大盤振る舞いしている生産者もいます。親の代もそうだったし、自分の周りもそうやっているからと、あまり考えていないケースもあります。バラまくだけで商売に繋がると本気で思っている人もいます。
なんでそんなことが分かるかというと、僕もやっていた時期がありましたから。マルシェで試食を振る舞ったり、展示商談会でサンプルをばらまくのって、謎の仕事やった感があるんですよ。そしてお客さんにスカッと喜んでもらえるんですよ。その瞬間だけはね・・・。
なにも試食を出すのや、サンプルを配ったり、サービスするのが悪いわけではありません。それを何のためにやっているのかを考えるようにしましょう、ということです。ばらまくことによるメリットは何でしょうか?
一つは、お客さんにあなたの商品を知ってもらうためです。関係性を深めて購入につなげるためです。そのための賄賂なのです。でも全員に賄賂を配っても意味がありません。あなたのターゲットとしているお客さんや継続的にお付き合いしたい相手を見極めて、その人に対して徹底的にサービスを施すのです。最初は赤字でも、継続取引が始まれば、利益に転換させることができます。
また展示商談会でサンプルを渡した場合は、そのバイヤーさんを必ずフォローアップします。渡しただけで満足してはいけません。しつこくフォローして、商売につなげます。上手く商売に繋がらなかったとしても、バイヤーさんのニーズを情報として聞き出しましょう。ここまですれば、大盤振る舞いした経費を、少なくとも情報という形で回収できます。
表面的には、気前のよい農家のおっちゃん。
でも裏では戦略的に行きましょうね。(^_-)-☆
-田中良介
この記事を書いた人

- Innova Market Insights社の日本カントリーマネージャー。世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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