「給食」効果と森鴎外(下)

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海軍では、麦飯で著しい脚気減少の成果が表れていました。
では、なぜ陸軍は日清戦争はもとより日露戦争でも白米のままだったのか。

鴎外は一貫して「論より証拠」を拒否

それは、学理という論よりも「麦飯という証拠」により脚気が減少した事実に対し、軍医部長の鴎外が、一貫して強硬に反対していたからです。

彼の責任は大変重いのですが、西洋医学の優等生だった鴎外は、「学理の人としての誇り」をあくまで捨てようとはしませんでした。

脚気論争は、明治天皇や陸軍大臣寺内正毅、北里柴三郎らも登場し興味深いのですが、関心のある方は、「脚気の歴史」.板倉聖宣著.仮説社や、「鴎外最大の悲劇」.坂内正著.新潮選書をお読み下さい。

そこには文豪・森鴎外とは違った軍医・森林太郎がいて、イメージが大転換されるでしょう。

大塚さんは「論より証拠」の実践の人

大塚さんの実践した「地産地消による給食」という証拠も、科学的な学理の裏付けがない限り、医学や食品に関わる関係者等の支持を得るのは困難かもしれません。

それに対して、国民健康保険が赤字で、医療費削減に真剣に取り組む自治体の首長は、大塚さんの講演を聞いて、市民に「地産地消の食」に取り組ませました。健康向上の成果を得て赤字が解消しました。

企業の社員食堂のメニューを地産地消の食材に変えて、社員の健康を向上させた社長もいます。

何事も、「成果につながる証拠」があるなら謙虚に受け止め、まず実践してみましょう。そのうえで結果を検証し、そこから従来の「論」を疑うことです。
「証拠より論」ではなく「論より証拠」を重視したいですね。

明治の「論より証拠」の人

鴎外と同じ明治時代に、「証拠より論」の鴎外とは対照的に、「論より証拠」を強力に主張した知識人がいました。誰か知っていますか・・・ほとんどの日本人が知っている人です。

それは、福沢諭吉です。実学の人です。
有名な著書「学問のすすめ」の第15編に、「疑ったうえで判断せよ」との文があります。

文中に「異論を出して議論し、事物の真理を求めるのは、逆風のなか船を進めるようなものだ。しかし、社会が進歩して真理に到達するには、この異論を出して議論する以外にないのだ」とあります。

疑うことに真理が多い」とも言っていますが、論より証拠を出して、従来の論を疑うことです。そうやって科学も進歩していくのです。
エリートの鴎外が「学問のすすめ」を読んでいたのは確かでしょうが・・・。

「学問のすすめ」を読み、地産地消の給食と花壇づくりを実践する一人でも多くの教育関係者が現れることを望みます。
そこから論を導きましょう・・・。

この記事を書いた人

長谷川 正之
長谷川 正之
アグリフード(風土)アドバイザー

長野県の農産物統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を創設し中心となって推進。また信州6次産業化推進協議会副事務局長として、地域6次産業化を主導。H28年3月をもって任期満了し、地域創生を支援するアグリフード(風土)アドバイザー業務を開始する。長野県内で幅広いネットワークを持つ。現上田市農政課職員。中小企業診断士。
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