6次産業化に取り組む果物農家さんが、こんなことを言っていました。
「今年の天候不順はラッキーだ。規格外品がたくさん出てくるはずだ。加工品の原料が安くたくさん手に入る。今年は量産と販路拡大に絶好の年だ。」
また、野菜の生産者さんが、こんなことを言っていました。
「今年はいいね。うちの産地の野菜がとてもよく売れている。周りの人はニーズが高まったから言うけど、それは違う。この前、猛烈な台風があそこの産地に直撃して、大きな被害が出たでしょ。だからうちの野菜が高く売れているんだよ。」
人の不幸を喜ぶ態度・・・。あまりいい気がしない人もいることでしょう。でも、これってけしからんことですかね?あなたはどう思います?
確かに上記の生産者さんのように、心の内を大っぴらに言ってしまうと、反感を買うかもしれません。でも言っていることは、リアルな意見です。
農業も6次産業化も、誰かの不幸の上に成り立っていることが往々にしてあります。
他の生産者や、他産地が沈んでいる間に、あなたはせっせと商品を作り、売っていかなければなりません。一緒に沈む必要はなく、目ざとくそこにチャンスを見いだしましょう。たとえ、それが他人の不幸の上に成り立っていたとしても躊躇は不要です。
なぜなら来年、自然災害の被害を受けるのはあなたかもしれないからです。農業資材の高騰に苦しむかもしれません。小規模な生産者は、ちょっとした天候不順や不況の波で、簡単に倒産に追い込まれます。事業にリスクはつきものです。
だから儲けられるときに、しっかり儲けておきましょう。好機が訪れたら、それを見逃してはいけません。
さらにいうと、自然災害などで他産地の野菜が出てこなくなった時、あなたが野菜を売らなければ、日本中の消費者が困ってしまいます。あなたには売る義務があります。
また、あなたが二束三文の規格外品をも加工品に活用できるのであれば、他の生産者を助けることにもつながります。もしかしたら廃棄されていたかもしれないものを買い取るからです。これを機により多くのお客様に加工品を販売して喜んでもらえれば、お客さんのためにもなります。
たとえそれが他生産者の不幸の上に見出されたチャンスだったとしても、それを全うするのが事業家としてのあなたの役割。強欲だとか批判されても気にしてはいけませんよ。引け目を感じる必要もありません。周囲の理不尽な期待など無視しましょう。
その感覚が身に付けば、あなたのストッパーが外れ、僅かなチャンスでも見えるようになります。
– 田中良介
この記事を書いた人

- 世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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