紹介本シリーズ⑦「遠距離交際と近所づきあい」下

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

美由子さん 前回のブログで、最近のNHKニュースウォッチ9で「上田市ふるさと納税」返礼品として上田産の雹(ひょう)害りんごを扱っている、と報道され反響を呼んだ件についてです。どういう報道だったのですか。

「訳ありりんご」とふるさと納税返礼品

私 今年は天候不順で、全国の自治体で扱っている「ふるさと納税返礼品の農産物」が届かないという異変が生じている、という内容です。
自治体も農家も「期待している寄附者」に届けられず、苦しんでいるという実情の紹介でした。

美由子さん 上田市はどうなんですか。
 ニュースでは、「不作のピンチをチャンスに変えようとしている自治体」として、上田市の「雹(ひょう)害りんご」を取り上げています。

雹が降って育ったりんごは傷ついているが味は変わらない、落胆している農家を応援してほしい、と正直に「訳あり品」として出品し寄附を募りました。

美由子さん その結果はどうだったのですか。
 「説明がわかりやすかった」「味が変わらないのなら協力したい」といった反応がたくさん寄せられ、選んでもらったとのこと。

NHKがふるさと納税返礼品の取材をしていて、たまたま上田市のHPを見て取り上げてくれた、とあなたは思うでしょう。

その通りですが、そもそも雹害りんごを「ふるさと納税」返礼品として扱うことを決めていないとNHKとつながりようがありません

美由子さん それはその通りです。返礼品とする経過を話せる限りでお願いします。
 同じ市役所内で見ている限りの個人的な見解ですが・・・。

昨年からりんごを返礼品として扱っていますが、5月31日の思わぬ雹害で返礼品としては扱えない見通しとなりました。

レギュラーネットワーク(近所づきあい)を形成する地元農協と市役所は、市の全国姉妹都市他に「訳ありりんご」の販売支援を事前にお願いしに行脚しました。
そして9月から手分けして一緒に県外に出向き、販売支援をしています。

美由子さん はたから見ていても、土日もなく遠くの県外に売り歩いていて、頭が下がります。農家も感謝していると思います。

土台は「近所づきあいの濃さ」

 そこで重要なのは、「近所づきあいの濃さ」が土台にあることです。今年から地元の信州うえだ農協と市役所との人事交流が始まりました。
不断に両組織
は信頼性醸成と情報共有化を図っていて「濃い近所づきあい」をしています。

美由子さん そうですね。連携して動いていると感じます。
 はい。被害を受けた生産者の悲痛な気持ちを農協職員が代弁し、その情報を市職員も共有して、両組織が何度も話し合った結果「ふるさと納税」の返礼品に決めたとのことです。

自治体は「信頼性」でスモールネットワーク化を

美由子さん なるほど、わかります。アットランダム(不規則性)な遠距離のノード(結節点:このケースではNHK)とつながるにも、「濃い近所づきあい」が土台にあっからこそなんですね。

それと、気付いたことがあります。遠距離交際でスモールネットワーク化するには、「信頼性」が重要だといわれましたが、自治体の存在価値はそもそも「信頼性」が一番ですよね。

だから、正直に農家を返礼品で応援する気持ちが寄附希望者に伝わり、つながったと思います。

 よい指摘です。ニュースを見て、視聴者から続々と応援したいという申し出を頂いているようです。昨今、大手メーカーの不正行為が大々的に報じられていますが、改めて「信頼性」は「正直さ」から生まれると思います。

私たち部署は市役所の職員掲示板で雹害りんごの愛称を募集し、「傷(キズ)」があるからこそつながる「絆(キズナ)りんご」と名乗って、一層販売に力を入れています。

濃い近所づきあいをしつつ、販売先で思わぬ人とつながる遠距離交際が生まれればと願っています。

まとめ

美由子さん 長くなりそうなので、まとめてください。
 何より、「近所づきあい」と「遠距離交際」のバランスが大切です。偏ると活性化が持続しません。

つながるには、「信頼性」が欠かせません。そして、人や企業がネットワークに入る決め手は、【得られる利得(金銭的対価に限らない)>費やす取引コスト】でしょう。

特に普段拘束されず長期的につながるメリットは、金銭には表せないものがあります。

美由子さん 遠距離交際では、普段接しない異質な人の方が新鮮でユニークな情報をもたらす可能性がありますよね。
長谷川さんの職場の職員は、変わった資格を持っている人が多いと以前聞きましたが・・・。

 私が中小企業診断士、他に行政書士、ワインのソムリエ、調理師等の資格保有者がいます。それぞれが遠距離交際で多彩な人材とつながり、ユニークなスモールワールドを形成したいですね。

マトリックスで見直す

美由子さん たまには、遠くの知人をチェックしてみるのも意味がありますね。

 その通り。そこで、私は掲載図のように、「近所づきあい」と「遠距離交際」に「心理的」と「距離的」という独自の視点を加え、マトリックスで考えることを勧めています。つながる手段も検討できます

※図が判読しにくくてすいません【4つの区分:近所づきあいー①心理的にも距離的にも近い③距離的には遠いが心理的に近い(フェイスブック等).遠距離交際ー②距離的には近いが心理的に遠い(近くても滅多に合わない)④距離的にも心理的にも遠い)。

美由子さん なるほど。4つに区分し自分のネットワークの特徴を見直してみると、どう偏っているか解りますね。

そういえば、来月10年ぶりに中学校同級会があるけど、思い切って行ってみようかな。「6次の隔たり」現象で結婚相手が見つかるかもしれない!

 いいね、その調子。「やってみなければ幸運にも巡り会えない」からね!

予告

美由子さん 次回の紹介本、決まっていれば・・・
 このあたりで、私が常日ごろ参考にしている「マーケティング戦略」の本を紹介しましょう。

実践的な本で大変役立ちます。あなたにこっそり紹介します(笑)。
次回も張り切ってやりますよ!

この記事を書いた人

長谷川 正之
アグリフードビジネスアドバイザー

□1955年生まれ、長野県埴科郡坂城町出身。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、長男としての責任を感じ故郷・長野県の農林系金融機関に就職。在職中は、融資や資金証券運用業務ほかに携わる一方、企画業務では「中小企業診断士」の資格を活かし経営戦略(経営理念の策定含め)を立案し事業展開を図る。54歳時に、「上司の顔より真理の顔を」という言葉に出会い、「ソロで力量を磨き、パーティーを組んで更に高い目標に挑戦していく!」意識を自覚。思い切って選択定年で退職。
□55歳で一念発起し、政策研究大学院大学政策研究科まちづくりプログラム(修士課程)に学び、ダントツの高齢者ではあったが無事「公共政策修士」を取得。 
□56歳で長野県庁の民間登用試験を受け、任期付職員として採用(課長級:農政部農産物マーケティング室企画幹)。県農畜産物の統一ブランド「おいしい信州ふーど(風土)」を玉村豊男氏と共に創設し普及。6次産業化推進や「信州ワインバレー構想」策定等にも関わり、任期満了につき退職。
□61歳で上田市農林部農産物マーケティング推進室・専門員に採用。「発酵で輝く上田のまちづくり」を提唱し、民間の「信州上田・発酵の女学校」等の設立を支援。上田市の統一ブランド「信州上田なないろ農産物」を創設し、地産地消を強力に推進。講演では「尊農上位論」を熱く説く。現在、ながの農協非常勤監事も務める。
□地域活動として、地元小学校PTA会長、さらに当時の小学校連続殺傷事件発生に際し地域で自主防衛すべく歴代PTA正副会長会(ビーナス会)を組織し現在会長。「地域の子どもは地域で育てる」を合い言葉に実践中。春・夏休みには、町内児童館で本の読み聞かせを楽しく行っている。
1995年阪神淡路大震災時には、友人の落語家や中学同級生たちといち早く復興支援寄席を開催。以降、高齢者福祉につながればと坂城寄席を継続開催中(現在休演)。地区の自治活動にも積極的に関わり、来年は区長を担う。コロナ禍や自然災害多発のなか、自治会(区会)が自治体(町行政)を構成する確かな「共同体」の仕組みを作りたいと意欲を持つ。
今後、「中小企業診断士」「公共政策修士」の知識・経験を活かし、さらに地域に貢献したいと前を見すえる。紆余曲折の人生のなかで培った多彩な人脈が自らの強み。
□趣味は落語鑑賞。好きな言葉として 「上に立つより前に立つ」 「スピードが感動を呼ぶ!」「笑いで輪(和)来!」「他人の言葉を気にして生きるには人生は短すぎる!」。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加