自分の商品の魅力が見えなくなるとき

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ワイン作り手取材

この半年くらい、ワイン葡萄生産者さんのところを巡りに巡っています。取材して、プロモーションの文章や動画を制作するためです。マンガで描くこともあります。

ワインの作り手さんには様々なステージがあります。アカデミーで学び途中の人、畑用地を探している人、ブドウ栽培に取り掛かっている人、委託醸造でワインを作り始めている人、自らのワイナリーを持って量産体制に入っている人など・・・。

僕が特に注目しているのは、駆け出しの生産者さん。夢はあるが、ワイナリーを持っていない人たち。一般的にはまだ成功しているとは言えない作り手の方々です。

まだまだ粗削りで、試行錯誤していて、そして不安いっぱい。もがき悩んでいます。同時に、大きな夢と希望を持っています。

彼らの今の姿を描くことが僕のミッション。動画撮影のときには、あまり堅くならずに、普段のトークをしてもらっています。そこで気が付いたことがあります。ブドウやワインの特徴、作り手の想い、気候風土などついて、彼らから出てくる言葉はとてもシンプルだということ。

「この品種と、の品種の葉っぱの形は、ちがうでしょ。面白いですよね。」
「これはワイン葡萄ですが、生で食べても美味しいんです。」
「この景色のなかで作業していると疲れが吹き飛ぶんですよ。」
「もうすぐファーストヴィンテージが出来上がってきます。それがうれしくて!ぜひ地元の人に飲んで欲しいんです。」
「5年後にワイナリーを建てるのが目標です!そのために仲間を集めています。」

着飾っていない彼らのストレートな表現は、心に響きます。またそこから僕自身もエネルギーをもらえます。

これがですね、既に自分のワイナリーを持っていて、長年自分のワインに向き合ってきてる人は、もっともっと専門的な話をします。初歩的で基本的な話を飛ばし、高いレベルの話をしがちです。僕は仕事柄、ワインやブドウには詳しいほうです。でもソムリエではないので、あまり難しい専門的なことを言われても「??」となっちゃいます。

あなたの商品が、農産物であれ加工品であれ、その領域において、あなたは時間とともに専門家になっていきます。そうならないといけません。

そしてどこかの段階で次ような錯覚に陥ります。

「周りの人だってこのくらいのことは知っているだろう。特に業界に詳しいバイヤーさん相手なら、いちいち伝える必要もない・・・。」

これが誰もが陥る、大きな落とし穴。

誰もが知っていそうな基本的なことのなかに、あなたの会社や商品の魅力が隠されていることがあります。その道に詳しくなりすぎたあなたには、見えなくなっているだけなのです。

初心に戻って、あなたの商品や地域や作り手としての想いを見直してみましょう。それらをシンプルに伝えるほうが、バイヤーさんに響くことがよくあります。

自分の知っていることを、相手は知りません。あなたにとっての常識は、聞き手にとっての常識ではないのです。

– 田中良介

この記事を書いた人

田中良介
田中良介
世界の最新トレンドとマーケティングに精通しており、食品企業の商品開発やマーケティング活動を支援している。自身もかつては食品企業で、苦労しながら商品開発と販売をしていた経験あり。 日本と世界をつなぐ架け橋となり、食品企業のレベル向上に貢献することがミッション。 海外での講演活動にも精力的に取り組む。
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